群馬県は母親の里であるため、上信電鉄の沿線にも親戚がいた。この鉄道は地元の人からいわせると、「ストの時は一番早くから始まって、一番最後までやっている会社。」なんだそうである。事実、ある時東京へ帰ろうとこの鉄道の駅まで送ってもらったら、スト決行中で動いていなかったことがあった。電車に乗るのを楽しみにしていたので、とんだ肩透かしに虚しくカーブして消えていく軌道を見つめていたことがあった。そんなこともあったので、妙にこの鉄道を記録したくなり、のちの訪問で撮影に出かけた。親戚のお兄ちゃんに貨物はあるのかと質問したら、「う〜ん」としばらく考えた後、「あるある、黒くてすごくゴッツイやつ。」という答えが返ってきた。「ある時自動車と踏み切りでぶつかったときがあって、車はメチャクチャだったが、機関車はなんともなかったんだ。」ますます興味が出てきた。どんな形かを聞くと、これまた「う〜ん」と悩んでしまい、表彰台みたいな凸型かと聞くと、「そうそう、表彰台かぁ、面白い表現だね。」と笑っていた。興味津々、時間を調べて待ちかまえて、ようやく現れたのが下のカットである。
イメージ通りの無骨な機関車。ドイツ製と知って納得。翌日の列車は重連が来たので慌てた。後でわかったことなのだが、この頃は月・水・金は決まって重連だったらしい。とにかく私はこの出合い一発でハマってしまった。
初めての出合いから20年以上が過ぎ、JRのお座敷列車入線は最大のイベントとして馳せ参じた。数年前、貨物は廃止になってしまい、夢の3重連は幻と消え、1台は廃車保存となってしまった。暫くはイベントなどで元気な姿を見れることかと思うが、先日の「999号」などのようにステッカーベタベタのド派手列車には少々複雑な気分になってしまう。
会社員となってしまうと、なかなか平日の工臨などは撮影に行くチャンスが減ってしまう。しばらくデキにも会っていない。それはちょっと撮ったことで安心してしまっているだけで、納得しているかといわれると、全くそうではなかったりする。そろそろがんばってまた撮りに行かねばなるまい。