「福井鉄道のデキ1」

 

 

 福井鉄道南越線には廃線時まで貨物列車が残っていた。東芝製25tのデキ1は小柄だがなかなか頼もしい形で好きな機関車であった。

 当時、高校生の私の撮影旅行は北陸ワイド周遊券を使用して、急行「立山」の夜行を利用して自由周遊区間を往復して夜を明かすという、いま思えばたいしたことをして旅費を浮かしていた旅であった。それに、夜行急行がそんな夜中に何本も走っていたのだから、何と良い時代であったのだろう。眠くてきついとも思ったが、数日もすればなれてしまい、喜々として北陸を歩き回っていた。当時の私は自転車を輪行しての旅行で、なかなか機動性があったので気に入っていた。夜ともなれば分解した自転車を、ホームはずれの柱にチェーン状でくくって、朝方とりに来るとのメモを付けて前述の「立山」に乗り込んでいたが、不思議と1回も注意されることはなかった。銭湯もいい味だしているものが多く、「デンキ風呂」なんてものを初めて見つけて恐る恐る入ってみたり、食事は大したものを食わないで駅の立ち食いそばなどで済ましていたのだが、福井でてんぷらそばを頼むと大きな海老のてんぷらが入っていて、さすが東京と違うと感激して食べたのを覚えている。(その後、社会人になって北陸でてんぷらそばを頼んだが、海老入りてんぷらは幻と消え、時には東京よりまずいそばであった。)

 

 

 電車が塗装変更してからは、ますます足が遠のいてしまいずいぶん福井鉄道へは行っていない。そろそろイベントでも走ることはないものだろうか・・・。

 

 

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