尾小屋鉄道の面影集め

 

 1977年の廃止だから、22年も前のことになる。自分は中学生であったから、本当にギリギリ廃線には間に合わなかった。もしあのころ軽便に興味があったら、出会えたかもしれない。そう考えるととても残念な気持ちになる。廃線後数年、北陸の私鉄を早周りしたときのこと、私は小松駅に降り立った。しかし、廃線後の処理は早かったらしく、小松駅構内はすっかり面影などなくなり、何一つ遺構を見つけられづに、早々に北陸鉄道小松線に足を運んだ。それからは書籍に面影を求めるのみで、自分で行くこともなく時は過ぎた。粟津の交通公園に動態保存が始まった報を聞くに及んで、私の尾小屋への思いは再びくすぶりはじめた。初めは廃線跡訪問など無駄なことと思っていたのだが、最近そこへ訪れることによって、他の人の写真を見ても、その場所の空気感みたいなものを感じてくることによって、そのような映像がとても生き生きとした連続的な映像に変わることがわかって、どうしてもあきらめきれない鉄道には足を運んだりするようになった。福井鉄道で電機が動くという話を聞いたことで、私は尾小屋行を組みはじめた。

 

 

 これが現在の尾小屋駅跡である。金沢から北陸鉄道の鶴来に立ち寄って、ここにたどり着いた。14:30頃というのにもう山の影が出てくるほどの所に駅跡はあった。人家はあるが人の声もせずひっそりとしている。駅舎もすでになく、当時の駅への道からは構内には入れなくなっている。がらんとした構内はひっそりと静まり返り、機関車は屋根つきの建物の下に雑草に埋まるようにたたずんでいた。

 

 

 5号機はライトも変わり、書籍で見る写真のイメージとはずいぶん変わっていた。側面にはだれが書いたのか無粋なペイントまでされている。もう少し状態の良いことを想像していたので、少々哀れに感じた。

 

(これはないでしょう・・・。怒。)

 

 

 

MENU へ  次へ