再会・村樫石灰工業のKATO

 

 あれから20年もの月日が経っていた。愛してやまないKATO。その現役に会えた数少ない場所。時折入ってくる現状の写真を見ると、決して状態はよくないようだ。2003年。まだあるだろうか。久しぶりに葛生を訪れてみた。

 葛生に入ったのは日も暮れかかる16:00頃であった。喜多山公園の蒸機を見学して足早にKATOを目指す。ところが、どうにも昔の面影がない。どうも道を間違えたらしい。20年の歳月は記憶をあやふやなものとしていた。思い出せないまま数キロを元に戻り別の枝道に入る。わずかな記憶を頼りに車を走らせると、それらしい風景にたどり着く。勘を頼りに数ポイント探すと、懐かしいボディーが資材の隅に置かれていた。「あった・・・。」

 

 

 

 2号機はキャブもつぶれて痛々しい。「こいつを自宅に置けたら。」当時は真剣にそう思ったものだ。こんなことになるんだったら、本気でもらい受ける交渉をすればよかったかもしれない。そんな風に漠然と思っていた。沈黙したKATOを前にそれはすでに魂のない抜け殻に思えた。

 

 

 

 1号機の方はまだ状態がいい。しかし荒れ果てたボディーはとても私の手に負えるものではなく、あらためて見ると我が家の庭にはこれでもでかいことに気づく。

 陽も山の端に隠れ、露出も落ちた。私は別れを告げて来た道を戻ることにする。「きっとまた来ることになる。」そう漠然と感じながら。

 

 


 

 

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