「玉川上水の放置SL」

 放置機関車と言っても、それがSLとなるとちょっと真剣になってくる。特に国鉄以外のものとなるとそうそうお目にかかれないので、すぐにでも行ってみてみたいと思うようになる。

 西武線の玉川上水の線路脇にずいぶんと長い間SLが放置されていた。これは南大塚から伸びていた安比奈線にて使用されていたもので、その終点に放置してあったのを移動してきてそのままになっているらしく、ずいぶん赤さびて鉄の塊となり果てていた。初めて行った折は、何分情報が古いものであったため、期待はしないように心に言い聞かせて訪問したが、2台も残っていて感激したのを覚えている。

 

 

 この機関車は鉄道連隊の生き残りで、コッペル社製。台枠の内側に車輪のある変わったものであったと記憶している。すでに計器類ももぎ取られたのかなにもなく、銘板も見あたらなかった。この写真は2回目の訪問時のときのもので、1回目のときには、もう1両、4号というSLが置いてあった。現場の人に行方を聞くと千葉の個人が保存のため買い取っていったとのことであった。

 時は過ぎ、この駅周辺もモノレールの開業で開発が盛んになってきた。時折、拝島行にのって寝過ごしてしまった折、電車の窓から闇の中に目を凝らすが、写真のSLの姿は見つけることが出来なかった。いったいどうなったのか、一度確認に行きたいと思っていながら、そのままになっている。

 


 先日、辻堂へ行った帰りに多摩モノレールに乗って帰ってきた。玉川上水に久しぶりに降りたので、ちょうど良いとばかり深夜のSL確認に行ってみた。幸い門扉が開いており入っていける。恐る恐る歩いていくが、資材置き場にはいくつものプレハブが建ち、ついに機関車の姿は確認することが出来なかった。

 

 

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