食物連鎖と浄化作用
日本湿地ネットワークパンフより
   干潟の価値

1.高い生物生産性

 干潟には陸上からの栄養分が集積し、遠浅であることと干満があることで光や酸素も充分に供給されます。こうした特性によって、干潟は最も生物生産性の高い自然環境となっています。多くの魚やエビ、カニが稚魚や幼生の時期にこの豊かな干潟の環境を利用します。高い生産性は、直接干潟から採集される海の恵みだけでなく、海のゆりかごとして沿岸漁業にも大いに貢献しています。

2.渡り鳥の休息場、餌場
 沖縄を含めた各地の干潟は、シベリアなど北で繁殖したシギやチドリ等の渡り鳥の重要な休息地、餌場となっています。一ヶ所の干潟の消失は、その地域だけの問題ではなく、そこを利用する渡り鳥を通して遠く離れた場所の生態系にも深刻な問題を与える可能性があります。

3.すぐれた水質浄化機能
 様々な生き物が川や海から持ち込まれた有機物を餌として体に取り込んでいます。また、移動する鳥や魚によって取り込まれた有機物は干潟の外へと運ばれていきます。このような作用によって干潟は維持費のかからない浄化装置だといわれています。干潟1ヘクタールの浄化能力は、建設費が数千万円の浄化施設に相当するという試算もされています。

4.固有性の高い生物
 沖縄の干潟には、特定の地域にしか見られないような生き物が生息していることが知られています。例えば、トカゲハゼは、日本で中城湾の泥干潟だけで、モモイロサギガイも日本で漫湖だけで、シオマネキは琉球列島で佐敷干潟だけでしかみられません。このような生き物の特異的な分布は沖縄の島の成り立ちと大きくかかわっていると考えられています。
固有性の高い生物の生息する干潟は、沖縄の成り立ちを考える上で重要であるだけでなく、それぞれが代替のきかない貴重な環境です。

5.景観・文化
 沖縄の独特な文化はその独特な自然環境によって育まれたものだといえます。干潟もその豊かな自然の恵みによって沖縄の文化を育んできたはずです。旧暦3月3日の浜下りも干潟がなければできません。子供や孫、またその子供や孫達が沖縄人らしく生きていくためにも干潟の存在は重要です。

6.環境教育
 様々な生き物が暮らす干潟では、生物の相互作用、種の多様性、物質循環などを目の当たりにすることができます。自然の大切さやすばらしさを学ぶ場所としてはこの上ない環境です。
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