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泡瀬の干潟トップ
  2002年 1月21日 夕刊 1面
南風/サンゴ礁、干潟は命の源/中村照美

 ここはやっぱり竜宮城だ。上を見上げれば太陽の光をうけた海面がキラキラと輝き、自分が海底二十bに居ることが信じられないほどだ。
 テーブルサンゴや枝サンゴ、花畑のような青サンゴの美しい住居に、魚たちは生きている。小手毬(まり)ほどの小さなサンゴには一aに満たないたくさんの魚たちが出たり入ったりしている。グルクンの群が通りすぎていく。洞くつは伊勢エビの団地だ。
 サンゴ礁は命の宝庫であり源だと実感させられる。
 ここ渡嘉敷島で迎えたお正月。ダイビングで夫と息子と一緒に海の素晴らしさを共有できた。
 サンゴ礁の真の価値を知る必要があると思う。そこは魚をはじめ海の生きものの生きる拠点であり、再生の場である。
 国をはじめ沖縄の責任ある立場の人々は、サンゴ礁の実態を理解する必要がある。サンゴ礁を生かしてこそ沖縄の将来がある。サンゴ礁をつぶし、生きものの再生を断ち切るなど許されることではない。
 生きものを育む場として、サンゴ礁と同様に大切なのは干潟である。私は日弁連の公害環境委員として諌早湾の干拓問題の調査に加わり、干潟のことを知る機会があった。そこは、命の湧き出ずる場として人々は「干潟は子宮であり、ゆりかごだ」と言い伝えてきた。干潟に住む貝類や底生生物は想像を超える浄化作用をも果たしていた。今、諌早湾とそれにつながる有明海の現状は、何を物語っているであろうか。同じことを沖縄は繰り返してはいけないと思う。
 日弁連の公害環境委員会と沖縄弁護士会で、二月八日午後六時から沖縄市民会館大ホールで「泡瀬干潟に関するシンポジウム」を開催する。県民の参加を呼びかけます。
(弁護士)
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