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  2002年 1月13日 朝刊 23面
干潟は自然知る資源/泡瀬・エコツーリズムシンポ/埋め立ての破壊懸念

 【沖縄】泡瀬干潟を例に人と自然のかかわり方を学ぼうと、シンポジウム「渚のエコツーリズムと地域振興」(主催・泡瀬干潟を守る連絡会など)が十二日午後、約百七十人が参加し、沖縄市の農民研修センターで開かれた。南伊豆海洋生物研究会会長の相生啓子さんら五人が講演。環境教育の取り組みなどを紹介し、泡瀬干潟について「持続可能な社会を目指す上で大切な学習の場だ」などと訴え、埋め立てによる生態系の破壊に懸念を示した。
 講演で相生さんは「泡瀬干潟がさまざまな方法で自然観察が可能なフィールドであることを実感した」と強調。「多様な生態系を配した優れた環境教育のための資源だ」と評価した。
 「持続可能な泡瀬干潟の利用―地球環境科学の立場から」と題して話した濱田隆士放送大学教授は「干潟には人間の身の回りとはまったく別の世界が広がっている。埋め立てに賛成、反対を言う前に、いかに干潟が生物の宝庫かということを知るべきだ」と話し、一部埋め立てでも、生態系全体への影響が大きいことを指摘した。
 泡瀬干潟を守る連絡会共同代表の藤井晴彦さんは自然環境の「賢い持続可能な利用」について、よく知る、保護する、利用する、つなぐなどのキーワードを挙げ、自然保護とビジネスのかかわりで人材育成や地元との連携などの課題を示した。
 泡瀬の干潟で遊ぶ会事務局の砂川かおりさんは「泡瀬干潟や比屋根湿地は市民が自然と自らのかかわりを考え、社会や生活様式を持続的な方向へ転換し、その方法を模索する実験・学習の場として今後、大切な資源として活用されるだろう」と語った。
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