アースレポート/ロバート・ラム/泡瀬干潟の取材を計画/生物、文化的多様性に興味
「アースレポート」という番組をご存じでしょうか? 毎週放映されるこの番組は、国連とWWF(世界自然保護基金)をスポンサーとし、BBCワールドTV、ナショナルジオグラフィックTV、中国テレビ、日本のスカイパーフェクTVなどのテレビ局を通じて、世界中に七百万人の視聴者を持つ、環境問題をテーマとする番組です。
われわれのもとには世界各地から、壊滅の危機にある環境問題を取り上げてほしいという要請の手紙やメールが山のように押し寄せます。その中で、最近特に興味をひかれたのが、沖縄市の市民団体から寄せられた泡瀬干潟の開発問題に関するものでした。
私たちがこの問題に興味を持ったのは、泡瀬干潟の教育的、文化的、社会的な遺産としての価値、そして干潟の生物学的多様性と沖縄市の文化的な多様性のつながりに重要な意味を感じたからです。
来年は国連の定めるエコツーリズム年でもあり、「アースレポート」で泡瀬干潟の問題を取材したいと考えています。この番組は世界中の、特に干潟や湿地帯の生態系に強い関心を持つ人々が見るわけですから、編集の際には干潟にかかわるすべての方々の意見を十分に伝え、公平な取材を目指すことにしています。
日本の環境保護における指導的立場を前提とすれば、沖縄市の行政担当者の方々も現在進行中の厳密な環境アセスメントの結果を確認することなしに開発を進め、その結果として貴重な干潟の自然遺産を失ってしまうというような事態は招かないと視聴者の皆さんにお約束できると信じています。過去七十五年間に、世界の湿地帯の半分以上が開発のために失われています。すさまじい自然破壊の犠牲を増やし続けていくことは沖縄の望むところではないでしょう。これまでの情報によれば、沖縄にはすでに需要を上回る収容能力を持つリゾートホテルが建設されており、昨今の経済状況を考えれば、この状態が近い将来変わるとは考えられません。取材の際には、沖縄市当局の全面的なご協力をお願いしたいと思います。
(環境テレビトラストディレクター「アースレポート」担当) |