落ち穂/知恵を出し汗もかこう/西江重信(環境省認定環境カウンセラー)
歴史的な二十一世紀の初めの年は、「なんとなく今年はよいことあるごとし…」と、ささやかな希望を抱いていたのだが、厚い雲に覆われた初日の出のように、光明が差さないミレニアムの初年になったように思う。
わけてもテロと報復は、多くの世界中の人々の個人の営みのレベルからは全く想像し得ない事件だった。あらためて宗教の普遍性、為政者の狂気性、報復の論理、国連の機能と限界等々について重い命題をつきつけられた年になった。
ひるがえって、沖縄がかかえる多くの問題はといえば、数年前、自立論議が県政の重要課題として提起されたのを受けて経済界の重鎮が「不作為の罪」とざんげした「自立的経済問題」。泡瀬干潟の開発についても推進派、中止・見直し派の双方とも不作為の罪があったのだから、一方が正、一方が悪、というスタンスでは解決しないだろう。
普天間飛行場問題についても辺野古移設だけが絶対的解決策だろうか。撤去も嘉手納飛行場への統合も政治的問題として取り上げられないのは納得がいかない。那覇軍港の浦添移設についても、避けられないのであれば、かけがえのないリーフ域を最大限残す方途を考えてほしい。
ほかに、農業・生態系・産業等、私たちの生活環境すべてにかかわる「表土流出問題」がある。来年以降に積み残す課題は、あまりにも多くあまりにも重たい。
貧困、戦争、地球温暖化、グローバルマーケット経済によるあつれき等、二十世紀文明の渦の中にあって、マハトマ・ガンジーが指摘した「七つの社会的大罪(原則なき政治、道徳なき商業、労働なき富、人格なき教育、人間性なき科学、良心なき快楽、犠牲なき信仰)」を強く意識しないわけにはいかない。
二十世紀文明の功の部分をありがたく享受しながらも、二十一世紀のテーマである「循環と共生」「持続的社会」の構築、特に沖縄の自律的自立に向けて、「足るを知る」を基本的生活観に据え、みんなで真剣にそして明るく取り組んでいこう。来年は自立元年にしたいものである。 |