琉球新報社ホームページ

琉球新報購読受付
新聞記事トップ

泡瀬の干潟トップ
  2001年12月10日 朝刊 3面
開発は中部振興の核に/干潟の保全/泡瀬埋め立て討論会

出席者
(美ら島を創る市民の会)
比屋根清一氏
西田健次郎氏
(泡瀬・干潟住民投票市民の会)
漆谷 克秀氏
前川 盛治氏
(司会・上原修琉球新報中部支社報道部長)

子や孫たちまで残せ/前川氏/人工干潟も造成する/西田氏

 琉球新報社が九日開いた沖縄市の中城湾港泡瀬埋め立て事業をめぐる討論会では、賛否の両派が干潟の保全、住民投票、経済効果、土地利用について見解を述べ、相違点については激しく意見をぶつけ合った。推進派の比屋根清一氏、西田健次郎氏は、開発による産業振興が中部の核となり若者の失業対策のために必要と主張した上で、行政手続きに問題はなく住民投票の必要性を否定した。一方、反対派の漆谷克秀氏、前川盛治氏は、干潟の重要性が高まったために見直しは必要だと訴え、市民合意を強調するなら住民投票をすべきだと強調した。(敬称略)

 司会 まず泡瀬干潟の保全について双方からうかがいたい。
 前川盛治 国は十月に泡瀬干潟を重要湿地に指定し保全を図るべきだと強調している。漫湖よりもシギ、チドリ類の渡り鳥が多く、沖縄の干潟で採れる貝がほとんど採れる。これは国の調査で明確だ。市内外から貝を採るため大勢の人々が毎日潮干狩りに来る。県内各地で干潟の埋め立てが進みますます泡瀬干潟が重要になった。子々孫々まで残すべきだ。
 西田健次郎 泡瀬干潟は重要な場所だから国が保全に留意しないといけないのは当然。埋め立て予定地は二百から三百b沖合。これは地元から干潟を残してほしいとの要望があり、そのために広い干潟を残す計画に変更したものだ。人工干潟も造成するので干潟はなくならない。工事中、環境に悪影響が出ないよう環境監視検討委員会が常設され環境がチェックされる。
 司会 互いに問題点を指摘してもらいたい。
 前川 干潟が80%残ると言うが間違いだ。干潟の環境浄化能力は浅い海、海草藻場も全部含め機能する。干潟に続く海が埋め立てられると残った干潟は健全でなくなる。よい例は新港地区。昔あそこは干潟で貝もたくさん採れた。千八百余の野鳥の飛来は二十三羽まで減った。貝を採る人も今はいない。出島にしても、かつての干潟ではなくなる。
 漆谷克秀 干潟は生活汚水に対する浄化作用がある。それを知ってて対策をしないのはおかしい。
 西田 推進派も反対派も環境を大事にすべきだという考えは同じだが、私たちが判断する場合、あくまでも環境監視検討委員会のような公的中立的な専門家の評価や提言、調査を最大限に尊重すべきだ。
 比屋根清一 大切なことは、行政が環境の問題点を明らかにし市民に理解を求めることだ。
  関連情報