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  2001年12月10日 朝刊 1面
泡瀬埋め立て/保全、住民投票で舌戦/推進、反対初の討論/経済効果も意見対立

 【沖縄】琉球新報社は九日、中城湾泡瀬沖合埋め立て事業で、賛成と反対の両派代表四人を中部支社に招き討論会を開いた。同問題で双方の代表が公式に論議を交わすのは初めて。争点となっている泡瀬干潟の保全をめぐっては、埋め立て事業賛成側は「出島方式と人工干潟の造成で干潟は残る」と強調。反対側は「埋め立てで自然環境が変化し健全な干潟は残らない」と反論した。住民投票については「事業説明が不十分。市民合意が必要なら今こそやるべきだ」とする埋め立て事業反対側の主張に、賛成側は「行政、議会の手続きは十分。必要ない」と述べ、双方の考え方の違いがあらためて鮮明になった。
(2、3、27面に関連)
 討論会には、賛成側として事業の早期実現を訴える「美ら島を創る市民の会」の比屋根清一会長、西田健次郎会長代行。反対側は、住民投票の実施を目指す「泡瀬干潟・住民投票市民の会」の漆谷克秀共同代表、前川盛治副代表がそれぞれ出席した。
 大きな争点になっている泡瀬干潟の保全について反対側は「県内各地で干潟の埋め立てが進み、ますます重要になっている」と計画当初と干潟保全の状況が大きく変化していることを強調し、再度細かい調査が必要だと指摘。賛成側は「あくまで公的、中立的組織の環境監視検討委員会の判断を尊重すべきだ」と事業の推進を求めた。
 経済効果について賛成側が「若者たちに長期的な職場をつくるのが大きなテーマだ」と訴えたのに対し、反対側は「景気低迷の中で果たして泡瀬にリゾートホテルが来るのか」と市の計画に強い疑問を示した。
 その上で、住民投票の必要性について事業反対側は「住民合意を得る手続きは不十分だ」と実施を求めたが、賛成側は「外から持ち込まれた事業、施設に対し、行政、議会が判断に困った時に実施するもの」と反論し「この事業にはそぐわない」と必要性を否定した。
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