泡瀬埋め立て海藻移植/技術判断に時間必要/ワーキンググループ/実験「うまく推移」/事業者/仮設橋を来月提案か
中城湾港泡瀬地区埋め立て事業で、沖縄総合事務局が進めている海草・藻場移植実験の推移を見るため二十八日、海藻草類移植・保全ワーキンググループ(委員長・野呂忠秀鹿児島大学水産学部教授)の会議が沖縄市の総合事務局中城湾港出張所で開かれた。野呂委員長は、十一月上旬から始まった機械による移植実験について「一部問題もあるが、大筋としては良い」と実験はうまく推移していると語った。移植技術が確立しているかどうかの判断については「あと一、二回の会議が必要だ」と時間がかかるとの認識を示した。
十二月の環境監視・検討委員会でワーキンググループの見解を報告し、着工を判断することになるが、海草・藻場に影響が少ないとされるくい打ち式仮設橋設置を事業者側が提案することも予想される。
ワーキンググループのメンバーと国、県の担当者ら約三十人は、同日午前、移植実験を約二時間を掛けて視察した。藻場の採取地点や移植先の海底に潜り、藻場の着生状況や埋め立て反対の市民団体が海底を荒らしていると指摘した汚濁防止膜のチェーンを確認した。
午後の会合では、汚濁防止膜については、チェーン部分よりも、膜自体が潮の流れで海底に寝る状態になることが原因だとの見解でまとまった。総合事務局は二十九日にもダイバーを潜らせて再度確認し、膜が動かないよう、対策を講じる。それまでは実験を再開しないことを確認した。
事業者側は工事で取り付け道路として用いるくい打ち式の仮設橋の設置について、環境への影響を質問。ワーキンググループでは「藻場へ与える影響は比較的少ない」との見解を提示した。
しかし、メンバーで愛媛大沿岸環境科学研究センターの金本自由生(じゆうせい)助手は「(藻の一種)クビレミドロについての影響が懸念される」として、慎重な検討を求めているのに対し、国土技術政策総合研究所海洋環境研究室の古川恵太室長は「影響は考えにくい」と答えるなど意見が分かれた。 |