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  2001年11月20日 朝刊 3面
干潟の保全が論点/泡瀬埋め立て/来月にも環境検討委/事業着手時期を判断

 中城湾港泡瀬地区埋め立ての是非をめぐり、推進、見直し両派の署名活動が活発化する。中部地域の活性化を目指し、計画が策定されてから十五年。事業費約五百億円の大型プロジェクトはいま、両派市民の中で揺れている。南西諸島最大規模の泡瀬干潟の保全と、経済効果の見通しなどを主な論点に浮上した開発の是非。今後、市民合意の在り方と環境監視検討委員会の判断を最大の焦点に、議論が高まりそうだ。

 中城湾港泡瀬地区の埋め立て事業を進める沖縄総合事務局は、事業による環境の影響を専門家らで話し合う「中城湾港泡瀬地区環境監視・検討委員会」の第四回会合の十二月末開催を予定している。前回は、埋め立て地に生息している海藻の広範囲な移植の結果を踏まえ、埋め立て事業の着手を判断するとし、当初予定の八月着工が中断した経緯がある。次回は、海藻移植がうまくいっているかどうかを見極め、事業着手の時期を総合的に判断する大きな節目になりそうだ。
 六月の第二回会合では、埋め立て予定地に生息する絶滅危ぐ種の藻「クビレミドロ」の室内移植実験が成功せず、移植技術が確立していないことが明らかになった。また、八月の第三回会合では、三fに及ぶ海藻草類の広範な移植を先行させ、生育状況を見ながら本格着工に入る方針が示された。
 事業者の沖縄総合事務局は当初、海藻草類の移植に向けて工事区域を囲う汚濁防止膜を八月中に設置し、九月から十月にかけて移植と本格工事を一部並行する考えだったが、方針を転換した。
 環境検討委は真栄城守定氏(琉大教授)を委員長に、海洋生物学、水産植物学、動物生態学の研究者を中心として、自治会会長ら十五人の委員会で構成されている。委員会の下に海藻草類・移植保全など三つのワーキング・グループが置かれている。

泡瀬埋め立て経緯
【2000年】
12・26 中城湾港泡瀬地区公有水面埋め立て事業認可、埋め立て承認
【2001年】
1・31 泡瀬干潟を守る連絡会が結成
4・4 連絡会が市民投票条例制定請求に向け署名運動開始
5・22 連絡会が9415人の有効署名を沖縄市に提出
6・7 市が市議会に、県内初の公共事業を問う住民投票条例を提案
6・11 環境監視検討委員会で絶滅危ぐ種の藻「クビレミドロ」の移植技術が確立していないことが明らかに
7・16 市議会臨時議会で賛成少数で市民投票条例案を否決
7・31 総合事務局が海草藻類移植について、第1区域工事と一部並行して進めるとしていた方針を転換。8月着工見送り
8・24 稲嶺恵一知事が計画変更の可能性を初めて示唆
9・1 総合事務局が業者に「1月をめどに本格着工したい」と発言したことが明らかに
9・6 「美ら島を創る市民の会」が結成。5万人の事業賛同署名を目指す
9・29 住民投票条例制定を再び目指す「大事なことはみんなで決めよう住民投票市民の会」が結成
10・12 環境省が泡瀬干潟を重要湿地に認定
11・14 「美ら島」の賛同署名が市内外で5万人突破
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