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  2001年11月20日 朝刊 2面
泡瀬干潟埋め立て問題/見直し派/前沖縄市議桑江常光氏/事業執行の凍結を/自然破壊し子孫にツケ

 ―泡瀬干潟埋め立てへの賛否とその理由を。
 「二カ年間は事業執行を凍結すべきだ。埋め立て計画はバブル期の八〇年代後半に策定されたがその後、社会・経済情勢が激変した。情勢が好転する見通しもない」
 ―計画に異論を出すのが遅すぎたのでは。
 「確かに計画段階でもっと議論すべきだった。特に市議会は三回推進決議をしたが、慎重に議論をすべきだった。関係した私も深く自己批判し、反省している。半面、市は説明会をやったというが、私が住む地域では五千人余の人口に対し、参加者は五人。市が説明責任を果たしたとは言えない。説明も図面を見せ、夢のような説明に終始。雇用が何千人という話の一方でリスクや企業誘致の説明がなかった」
 ―推進派は干潟の八割は保全するというが。
 「泡瀬干潟は海の生き物、鳥類などすべての生き物のゆりかごだ。人間にとっても貴重な癒(いや)しの場。広大に埋め立てれば広範囲に影響する。金武湾を埋め立て、海中道路を造ったときも影響はないと言ったが、一年もたたないうちに道路両側にヘドロがたい積した」
 ―市は中心市街地の空洞化に防ぐためにも、開発が必要だというが。
 「干潟を埋め立て商圏を東部に移すと、中心市街地の空洞化が進む。必要な再開発事業では手を抜き、埋め立てに走るのは疑問。沖縄市には市域の約40%を占める軍用地がある。土地がないと言う前に軍用地返還を求めるべきだ。海浜利用事業が必要なら、真っ先に泡瀬通信施設を開放させるのが筋。自然破壊をしなくても、基地を平和産業に転用できる」
 ―住民投票について。
 「正式に住民投票をやり、尊重すれば良い。議論の結果、環境保全を含め見通しが立てば事業を推進するのもいい。そうでなければ断念すればいい。住民投票を『衆愚政治』という人もいるが、それは分権、自治を否定する暴論だ」
 ―市への要求は。
 「立地企業はゼロに近い。干潟を壊した上に、ばく大な借金のツケが子や孫の代まで回る。冷静な議論ができるよう情報を開示してほしい」
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