泡瀬、住民投票を否決/沖縄市議会、昨年に次ぎ2度目/市民団体は運動継続/反対23、賛成7
【沖縄】沖縄市議会(新里八十秀議長)は六日、中城湾港泡瀬地区埋め立て事業の是非をめぐる住民投票条例案を審議、反対多数で否決した。市議会で圧倒的多数を占める事業推進派は「米軍基地に土地を奪われ、海浜開発へ活路を見いだすしかない」と主張したのに対し、反対派は「住民投票は時代の要求で、全国的に大型事業が見直されている」と反論した。審議は住民投票よりも事業内容に関する賛否の応酬が大半を占めた。昨年七月に次いで、同条例否決は二度目。条例制定を求めた市民団体は今後も埋め立て反対運動を継続するとしており、同問題は国、県が参画する中城湾港開発になお波紋を広げそうだ。(25面に関連)
午前十時に始まった本会議は質疑、討論と続き午後十時まで及んだ。採決で自民、公明、社大系市議の二十三人が住民投票に反対、社民、共産系市議七人が賛成した。
質疑の中で、住民投票について質問された仲宗根正和市長は「時代の流れは承知している。日本は議会制民主主義であり、この事業で行政、議会に迷いはない」との答弁を繰り返した。
また、リゾートホテル誘致を柱とした事業計画について、市側は「現時点で進出の意向を示したのは二社だけだが、埋め立て完成は十年後であり、国内外の企業を誘致したい」と説明。これに対し、革新系市議らは「根拠がない」と批判した。
条例への賛成・反対討論では、「市民の声を行政に反映させる開かれた議会に改革すべきだ」「八万五千人の事業推進署名を集めた。歴代市長、議会も推進した全市民の悲願だ」などと、住民合意の解釈をめぐり主張は真っ向から対立した。
条例を請求した「大事なことはみんなで決めよう住民投票市民の会」の漆谷克秀代表は「住民投票を敵対視する前近代的なしがらみが沖縄の社会にある」と批判し、市議会審議の在り方に疑問を呈した。
実施が当然
島袋純琉大助教授(行政学)の話 政府は一九九八年から公共事業の再評価システムを導入したほか、地方分権の中で街づくりは住民主導に変化しつつある。これらの傾向を基に、計画策定から年月が経過した同事業について、住民投票は実施してしかるべきだ。
(写図説明)住民投票条例案を審議する沖縄市議会 |