沖縄タイムス社ホームページ

沖縄タイムス購読問い合わせ
新聞記事トップ

泡瀬の干潟トップ
  2002年 2月 6日 夕刊 5面
市長意見にば声/沖縄市・推進派はシラケ気味/住民投票条例

 【沖縄】泡瀬埋め立て事業は是か非か。再び「民意」を問おうと住民投票を求める七千人余の願いを突き付けられた沖縄市議会。六日午前の審議入りには賛成、反対の両陣営が傍聴席に詰め掛け緊迫した雰囲気。「議会、行政および市民団体が一体となって推進している事業。中部圏経済の活性化と新たな雇用機会の創出や市民交流の拠点づくりに不可欠」-。仲宗根正和市長は「住民投票の必要はない」とする意見書を淡々と読み上げ、条例案を提出した。多数与党の反対で再び否決の公算が大きい中、傍聴席はかたずをのんで審議を見守った。(1面参照)
 この日午前八時半の傍聴受け付け開始には、早々と背広姿の沖縄商工会議所の職員を含む十数人が訪れ、手続きを済ませた。ところが、審議前に住民運動とは別に野党が提出した住民投票を求める請願書の扱いをめぐって議会運営委員会が開かれ、本会議が大幅に遅れた。休憩を挟むなど時間がかかり、審議入りを待つ市民やマスコミ陣をやきもきさせた。
 審議が始まったのは午前十一時すぎ。仲宗根市長が「住民投票の必要はないと考えます」と意見書を読み上げると、傍聴席から「何を考えているんだ」と罵声(ばせい)が飛び、一時中断。「騒ぐやつはたたき出せ」「警察を呼べ」「(市長は)やめろ」。傍聴席と議場との間で激しい言い争いとなるなど騒然とした。
 推進派の一人は「特に感想はないね。いつもだらだらと同じことの繰り返し」とシラケ気味。「大事なことはみんなで決めよう住民投票市民の会」の漆谷克秀共同代表は、「あまりにも異常な感じがする」と市長らの答弁にあきれ顔。「推進派は八万五千人の署名を集めたというが、正確な住民の意思を示さないといけない。市長の『住民投票は補完的で必要ない』とする発想が理解できない」と嘆いた。
 一方この日、潮が満ち始めた泡瀬干潟は人影もまばら。ほとんど毎日のように潮干狩りに来るという女性(70)は「干潟も残せるなら残したいが、子供も失業している。埋め立てして仕事ができるかどうかも分からない。難しいねえ」と困惑顔だった。
(写図説明)激しいやじで一時、騒然とする傍聴席=沖縄市議会
   関連情報