「計画は時代に逆行」/県を厳しく追及/国会議員ら泡瀬干潟視察
【中部】超党派の国会議員でつくる「公共事業チェック議員の会」(会長・中村敦夫参院議員)のメンバー十三人は五日、国などが埋め立てを予定している沖縄市の泡瀬干潟を視察。沖縄総合事務局、県、沖縄市の担当者と意見を交わした。中村議員らは「泡瀬干潟は多様性に富み、世界の財産だ。干潟の価値が見直される中で、計画は時代に逆行している」とし、埋め立て中止を強く求めた。
一行は、泡瀬干潟を守る連絡会の藤井晴彦共同代表の案内で、干潟を歩いた。ミナミコメツキガニの大群が砂の下から現れると、議員から「おぉー」と感嘆の声が上がった。「藤前干潟や諫早湾などを見てきたが、泡瀬も素晴らしい固有の干潟だ。シギ、チドリなど渡り鳥が飛来する干潟を世界的なネットワークで守っていく必要がある」などの意見が出た。
その後、沖縄総合事務局中城湾港出張所で、総合事務局、県土木建築部、沖縄市の職員から計画概要の説明を受けた。
佐藤謙一郎議員は「干潟の価値を見直す流れの中で、県として干潟をどうとらえているか」と質問。
県の赤嶺正広副参事は「現在の計画は、環境保全を考え、当初の埋め立て面積を縮小した。経済振興と自然保全のバランスを考え、地元で長年温めてきた案」と理解を求めた。
中村議員は「日本経済は破たんし、低成長は避けられない。リゾート計画は本土で失敗している」と指摘、土地利用計画の将来的な採算性に疑問を投げ掛けた。
約百人の野党議員でつくる同会は、構造改革を旗頭とする小泉政権に対し、公共事業の在り方を追及する中で、泡瀬干潟の埋め立て計画についても各種委員会で取り上げていく方針。
市「宿泊施設は必要」
議員「考え方バブル」
公共事業チェック議員の会メンバーは泡瀬干潟を視察後、沖縄総合事務局中城湾港出張所で国、県、沖縄市から事業説明を聞いた。主な質疑は次の通り。
議員 泡瀬干潟を破壊する計画が財政的に成り立ち、自然保護は可能なのか。
県 事業推進は地元要望が第一で、埋め立て推進の市民総決起大会が開催され、市議会も推進決議している。
議員 開発要求は全国にいくらでもある。
県 泡瀬は埋め立て土砂を中城湾新港のしゅんせつ土を使う有利性があり、住宅地を安価で提供できる。計画は当初三百五十ヘクタールだったが、地元住民から干潟保全の要望を受け百八十五ヘクタールに縮小した。
議員 県の干潟開発・保全計画は?
県 計画はない。
国 泡瀬干潟六百四十四ヘクタールの7・6%、四十九ヘクタールを埋める。
議員 長崎県諫早湾の論議と同じだ。保全目的で計画面積を縮小したが、結局、自然が消えた。生態系を守れるのか。
県 一ヘクタールも手を付けるなということか。議員の考えとは別に地域で開発を求める思いがある。
国 トカゲハゼとクビレミドロの保護が保全成功の条件と考えている。クビレミドロの移植はまだ成功していない。
市 東南植物楽園に多くの観光客が訪れる。スポーツコンベンション、国際イベントを企画するが、宿泊施設がない。
議員 いろんな施設はあった方がいいだろう。しかし、時代認識がバブル期のものだ。干潟は永遠に取り戻せない。泡瀬干潟には世界的価値がある。
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