[回顧'01](4)/環境・福祉/泡瀬埋め立てに関心/不祥事相次ぐ特養ホーム
全国的に公共事業の見直しや干潟保全の機運が高まる中、中城湾港泡瀬地区埋め立て事業に県内外の関心が集まった。
八月着工の予定だったが、国が海草移植実験を先行させるため、工事を中断。事業推進派の「美ら島を創る市民の会」は十二月十九日、早期着工を目指し、約八万五千人の署名を尾身幸次内閣府沖縄担当大臣に手渡した。一方、住民投票の実施を求める市民グループは同月二十四日、条例制定を求める署名を沖縄市選挙管理委員会に提出。本紙などが実施した世論調査では、事業に反対が57%、住民投票を「実施すべき」が68%という結果が出ており、行方が注目される。
ヤンバルクイナがマングースや野生化したネコの脅威にさらされていることが顕在化した。県と山階鳥類研究所の調査で、マングースの北上に伴い、ヤンバルクイナの生息域が減少したことが判明(五月)。また、十二月にはDNA分析からネコによる捕食が確認された。
県内離島に約一万台ある放置自動車の撤去作業が十二月十九日、南大東村を皮切りに開始。国の補助事業としては全国初の取り組みで、いかに車の投棄を防止するかが課題になっている。
国の天然記念物ジュゴンの保護に国際的な関心が集まる中、環境省はジュゴンを国内希少種に指定し、保護に乗り出す方針を固めた(五月)。県環境影響評価条例が施行された(十一月)。
福祉の分野では、社会福祉法人の不祥事が相次いだ。特別養護老人ホーム建設の補助金を不正に受給したとして、県は十二月五日、おきなわ長寿会の元理事長を補助金適正化法違反と詐欺の疑いで沖縄署に告発。県が社会福祉法人を告発する初のケースとなった。
五月には特養ホーム「でいご園」が介護報酬を水増し請求していたことが発覚した。
ハンセン病訴訟判決を受け、稲嶺恵一知事は六月二十七日、「県は、元患者に対する偏見や差別を解消するための努力が十分でなかった。心からおわびします」と謝罪した。また、両療養所の自治会が要望する、沖縄戦で亡くなったハンセン病患者の平和の礎(いしじ)への刻銘について、前向きな姿勢を見せた。
戦時遭難船舶の犠牲者を弔う国主催の南西諸島方面海域洋上慰霊が十一月二十九、三十日行われ、三百五十七人の遺族関係者が参列した。
母子総合医療センター(子ども病院)を併設する高度・多機能病院(仮称)建設に国の予算が付いた(十二月)。(おわり)
(写図説明)超党派の国会議員でつくる「公共事業チェック議員の会」のメンバーが泡瀬干潟を視察。国や県、沖縄市に、事業の中止を強く求めた=9月5日 |