[地方この一年](1)/中部
二十一世紀最初の年である二○○一年も間もなく終わる。世界を揺るがせた米国中枢同時テロを頂点に、今年も激動の一年だった。テロは「基地オキナワ」にも深刻な影響を与えた。基地の整理・縮小は遅々として進まず、名護市への「普天間代替施設建設」、浦添市の「那覇軍港受け入れ表明」など相変わらず基地問題にほんろうされた年でもあった。このほか、沖縄市泡瀬地区、大宜味村塩屋湾外海の埋め立て、国頭村の廃棄物処分場建設問題など環境課題も大きな論議を呼んだ。久米島の具志川村・仲里村の合併協定調印など新たな動きもあった。地方のこの一年を振り返る。
【沖縄】泡瀬干潟の一部を埋め立てる沖縄市の東部海浜開発事業をめぐり、推進派と住民投票実施を求める市民グループ
の署名活動が展開され、賛否の論議に沸いた。
同事業は、ホテルを中心としたリゾート開発が柱で、自然保護や財政負担の問題など、計画そのものの実効性に疑問が持たれている。
八月着工予定だったが、事業主体の国が海草の移植実験を先行させるため、工事を中断。推進派は、早期工事再開を目指し、八万人という驚異的な数の署名を集めた。
今年七月には自然保護を訴える市民グループが住民投票条例の制定を求めたが、沖縄市議会がこれを否決。新たな市民団体が再び、制定に向けた運動を進めている。
本紙などが実施した世論調査では、約六割が事業に「反対」と答え、市が主張してきた「市民総意の事業」を覆す結果が出た。公共工事の見直しや干潟保全の機運が高まる中、全国的にも注目が集まる。 |