[論壇]/石川栄喜/泡瀬干潟の大自然を残そう
十一月二十日の本紙朝刊一面のトップ記事「泡瀬干潟埋め立て」沖縄市民世論調査による「反対57%、賛成24%」の報道は、多くの市民が、崩れ落ちるような衝撃を受けたに違いない。住民意識と隔たり崩れた「市民総意」の大見出しの記事は、二、三ページのほとんどが、世論調査の内容を分析し、詳しく解説してある。
私が「泡瀬干潟を守る連絡会」に参画して市民投票を実施させる署名活動を通して、大自然の泡瀬干潟を破壊する「埋め立て」に反対する市民の熱意は肌で感じてはいたものの、新聞報道記事がこれほどまでに計り知れないものであることを痛感したことは、これまでなかったことだ。
沖縄タイムス社、朝日新聞社、琉球朝日放送合同による「沖縄市民世論調査」の「市の説明足りない75%」は、二〇〇一年四月二十四日の本紙の報道、沖縄環境ネットワークによる「泡瀬干潟埋め立て調査」で「市民の七割が必要なし」を裏付ける結果となった。今、世界的、国内的にも地球の環境問題がクローズアップされる動きの中で、沖縄市当局は、市民への説明は不十分なままに、これまで市議会による三度の議決や歴代市長の公約、それに埋め立て促進派による市内各団体の代表を集めての総決起大会(示威)を踏まえて、「市民総意」として、「泡瀬干潟埋め立て事案」を、あまりにも強行してきたことは否めない。
出島を造ることによって、職場拡大、六千人の雇用が看板だけでなく、良識ある市民に対して埋め立て後(出島)の「土地利用」目玉となる企業(リゾートホテル)の進出についても具体的に実のある説明にこれからでも当局は努めねばならないだろう。
泡瀬干潟埋め立て事業について、沖縄市民をはじめ県民が抱いている不安(問題)は経営難の「コリンザ」や沖縄市与儀の高台に建つオープンせずにあるホテルの二の舞いを踏むことになりはしないか。那覇東急ホテルの閉鎖や宮崎市のシーガイアの破たんは、対岸の火事ではないこと。今世紀も続くであろう本県の「基地とテロと観光業」の問題。沖縄市にとっては、胡屋を中心にある既存の中規模のホテルの今後の展望。胡屋「一番街」、コザ十字路「銀天街」の活性化-と、幾多の問題を抱え、大きな不安がある。
これらの問題について、沖縄市民が納得しない限り「泡瀬干潟埋め立て」については、日を追うごとに、「反対57%」の割合は増えることになるだろう。
私の属している「泡瀬干潟環境保護団体」の大きな動きもある。私は泡瀬干潟の大自然を、泡瀬の開拓者が愛したのに学び、新世紀の子や孫に、祖先伝来の財宝として残したいと思う。(具志川市安慶名三六四ノ一、元学校長)
(写図説明)石川栄喜 |