泡瀬干潟埋め立て/住民投票で是非を問え
沖縄市の泡瀬干潟を埋め立てる計画に「反対」は57%で、「賛成」24%。住民投票を「実施すべき」が68%で、「必要ない」は18%。
沖縄市民を対象に沖縄タイムス社、朝日新聞社、琉球朝日放送が合同で実施した電話による世論調査の結果である。
やはり、事業の是非を市民にあらためて問う住民投票を実施すべきだ。
「公共事業は一度始まったら止まらない」という時代ではない。時代の変化を踏まえて事業の妥当性を再評価する。住民とともに考え、政策に取り入れる。そんな時代である。
計画の策定から長い年月がたち、社会情勢も変わった。市民の間には事業によって干潟が失われる危機感や、事業そのものの有効性に対する疑問が徐々に広がっている。
75%が国や県、市の事業計画についての説明は不十分だと回答したのは、そんな状況の変化を反映したものだろう。事業の目的や必然性についての説得力が失われてきたのである。
仲宗根正和沖縄市長は、埋め立て事業を含む東部開発実現を公約に掲げて当選した。歴代市長の政策でもあり、市議会も三回にわたって全会一致で推進決議をした。
だが、現在、市民はどう考えているのか。今回の調査では「反対」が「賛成」の二倍を超え、過半数を占めた。事業の根拠とする「市民の総意」は怪しくなった。
確かに、市長が世論調査結果に拘束される理由はない。ならば、この問題に絞って是非を問うてみたらどうだろう。
住民投票は、個々の重要な行政課題について住民が自らの意思を直接、政策判断に反映させるのに有効だ。
沖縄市議会の六月定例会では、埋め立ての是非を問う住民投票条例が反対多数で否決された経緯がある。
市長や市議会は「住民投票は必要ない」と判断したのである。しかし、調査では68%が「実施すべき」と回答した。埋め立てに賛成する人でも46%が「実施すべき」とした。民意との乖離(かいり)を指摘されても否定できまい。
住民投票の実施は、活動を通して事業の是非をめぐる議論を尽くす絶好の機会であった。市民の意見を取り入れながら説明責任を果たす責務と機会を放棄してしまった。
再度、住民投票制定に向けた活動が活発化している。前轍(ぜんてつ)を踏むようなことがあってはならない。
事業は市民にとって本当に必要なのか。何はともあれ市民に問うことだ。 |