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  2001年11月21日 朝刊  2面
美ら島を創る会・比屋根清一会長泡瀬干潟/埋め立て、環境保護策浸透へ力

 【沖縄】泡瀬埋め立て事業について、沖縄タイムスなどが実施した世論調査で、反対が回答の半数を超え、多くが住民投票を求めているとの結果が出た。埋め立ての是非を問う住民投票の実施を求める市民グループは「事業推進の論拠が崩れた」と受け止めている。一方、推進派は「事業内容を十分説明すれば賛成派が増える」と強気の姿勢を崩していない。両グループの代表に世論調査の結果をどう受け止めるか聞いた。
 -埋め立て「反対」が多数を占めたが、この数字をどうみるか。
 「妥当な数字だ。これまで『絶対多数』と言ってきた推進派の主張が崩れた。市民総意と言って進めたきたことが、市民に十分に知られていないことが明らかになった。事業計画自体の発想が貧弱だ。リゾートを中心とした公共事業はだんだん衰退している。国の財政は国民一人当たり約五百万円の借金を背負っているのが現状であり、市民も公共事業の弊害を知っている」
 -世論調査では反対派が多数を占めた。
 「結果は予想の範囲内だ。市民グループが環境問題を指摘し、住民投票を求めるなど、大衆のエネルギーを感じていた。一方、推進派は行政、議会の事業決定に安心していた。現時点で厳しい結果は当然の帰結だ」
 -住民投票を求める意見が市民に多い。
 「歴代の市長と議会が党派を超えて事業推進を決定した。計画について議会論議があったころならば住民投票は有効だ。埋め立てが許可された今となっては時機を逸している。環境問題を主張するのなら、建設的な意見を行政にぶつけ、より良いプランにするよう協力してほしい」
 -環境を守れない、との見方が多い。
 「行政の説明不足がある。環境保護の諸施策をまとめた立派なパンフレットを作製していながら、市民に行き届いていない。行政の取り組みには歯がゆさも感じる。今後は環境保護策などの事業内容を徹底的に浸透させ、埋め立ての必要性を市民に訴える」
 -経済活性化に埋め立ては絶対条件なのか。
 「そうだ。市街地にある既存商店街は店舗兼住宅や借家が入り交じる複雑な形態が出来上がった。再開発のコンセンサスを得るのは無理だろう。新しい土地からプロジェクトを発信する必要がある」
 -米海軍泡瀬通信所の返還要求が先決との主張も聞かれる。
 「それこそ反対のための反対論。返還の可能性、将来展望はあるのか。仮にそれが可能だとしても、地主の合意形成に時間がかかる」
 -泡瀬埋め立てで目指すものは何か。
 「東海岸のコンベンションシティー。東は日照時間が長く、スポーツスタジアムに最適。また、数年後に団塊の世代が定年を迎え、長期滞在型のホテル・リゾートが時代のニーズとなる。台湾をはじめ、外資系ホテルが進出しやすいような税制措置を政府に求め、沖縄の新たな観光振興地区を形成する。埋め立て地には商業地を配置せず、既存商店街に誘導する交通体系を整備することで、人の流れができる。市全体の活性化を目指す市経済再生の核となる」
(写図説明)美ら島を創る会・比屋根清一会長泡瀬干潟
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