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  2001年11月21日 朝刊  27版
汚濁防止の重し、藻場荒らす/泡瀬海草移植実験

 泡瀬埋め立て事業の海草移植実験で、現場海域の周囲約二キロに張り巡らした汚濁防護膜の重り用チェーン(一個約二十センチ)が海底をこすり、一部の海草・藻や貝など底生生物に被害を及ぼしていることが二十日までに分かった。希少な海草・藻場の保護を目的とした移植実験で二次的な環境破壊が起きている。

 膜を海底に垂らすための鎖が風や波のうねりで大きく揺れ、およそ十メートルの幅で底を掃くように削っていた。鎖の周辺にはちぎれた海草・藻がごみのようにたまり、ちぎれたナマコの死がいやつぶれた貝などが散乱していた。

 実験を行っている沖縄総合事務局那覇港湾工事事務所は「波のうねりでそのような状況があることには苦慮している」と、現状を認識した上で「海底まで膜を垂らさなければ濁り外部に広がる。濁りの拡散を抑えるか、海底に傷をつけないかの二者択一。周辺環境への影響がないよう配慮している」と説明した。

 香村真徳琉大名誉教授(藻類学)は「起こり得ることだ。生物の生息地がかき乱されていることだろう。二次的な環境破壊を引き起こす実験のやり方に無理があるのではないか」と話している。

 今月七日に始まった海草藻場三ヘクタールの移植実験は約二億円を投じ、パワーショベルを使って採取した海草を、年末までに近くの海域へ移植する。
   関連情報
写真出所:沖縄タイムスホームページ2001年11月21日トップページ写真より
 この写真は、11月18日に泡瀬干潟埋立事業に伴う、移植実験の汚濁防護膜の重りが海草や周辺を荒らしている様子である。