住民投票市民の会・漆谷克秀代表/民意反映する市政を
【沖縄】泡瀬埋め立て事業について、沖縄タイムスなどが実施した世論調査で、反対が回答の半数を超え、多くが住民投票を求めているとの結果が出た。埋め立ての是非を問う住民投票の実施を求める市民グループは「事業推進の論拠が崩れた」と受け止めている。一方、推進派は「事業内容を十分説明すれば賛成派が増える」と強気の姿勢を崩していない。両グループの代表に世論調査の結果をどう受け止めるか聞いた。
-埋め立て「反対」が多数を占めたが、この数字をどうみるか。
「妥当な数字だ。これまで『絶対多数』と言ってきた推進派の主張が崩れた。市民総意と言って進めたきたことが、市民に十分に知られていないことが明らかになった。事業計画自体の発想が貧弱だ。リゾートを中心とした公共事業はだんだん衰退している。国の財政は国民一人当たり約五百万円の借金を背負っているのが現状であり、市民も公共事業の弊害を知っている」
-推進派の中にも住民投票の実施を求める声が多かった。
「住民投票は民意を示す手段として有効だ。市長は、『議会が拮抗(きっこう)した場合に住民投票を行う』と言っていたが、それは責任放棄でしかない。少数派の意見をくみ上げ、民意を反映させるのが民主主義。事業を推進する側にとっても、住民投票で民意を知るというのは常識的な考え方ではないか。賛成意見が絶対多数という強引な手法で進めてきた結果だ。市は以前から説明不十分との指摘があったにもかかわらず、企業進出意向調査結果の公表を渋るなど、情報開示の姿勢がない。行政は原点に戻って、情報を開示すべきだ」
-埋め立てで周辺環境は守れないという意見が圧倒的だった。
「人工干潟を造って自然を守れるはずがない。ビーチが造られても、潮流がどう変わるか分からない。野鳥園を造るというが、本当に野鳥がそこに来るという保証はない。破壊された自然がどうなるのかというデータはまったく示されていない。たった数週間の移植実験で実態を知ることができるのか」
-市内の多くの土地が基地に占められている。推進派はこの事業に経済活性化を求めているが。
「基地依存経済からの脱却が沖縄市の課題であるはずだ。だが基地があるという理由で、埋め立てをして土地を確保をするというのは、逆に基地を担保に事業をおねだりしていることと同じ。結局は基地依存の経済体系をつくり出している。自然を資源として活用するまちづくりを考えてはどうか」
(写図説明)住民投票市民の会・漆谷克秀代表 |