[大弦小弦]
「やっぱり」か「意外」か受け止め方は立場によって違った。沖縄タイムス社などによる泡瀬干潟埋め立ての世論調査の結果のことだ▼議会が三度も決議した埋め立て推進に市民は過半数が反対。住民投票も必要ないと大差で否決されたのに調査では七割も肯定している。今回の結果は、こうした議会と住民意識の隔たりをどう受け止めるかを投げ掛けているのではないか▼そこから見えてくるのは市民の本音と建前。特に沖縄は選挙の際にも地盤、看板、かばんといわれるように地縁、血縁が物を言う土地柄だ。本音より義理が優先する事もある。そこをどう見極めるかだろう▼もともと個人の意思を問う選挙制度は欧米の近代思想を基盤にしている。個人より組織の論理が優先する日本型共同体社会に導入された時点で、"ひずみ"が出たと考えられよう。そこをどう修正するか。沖縄と本土も微妙に違うだろう▼署名や選挙は確立された個に始まる。さまざまなしがらみに生きるウチナーンチュにとって一筋縄ではいかない世界だ。そこへゆくと匿名の世論調査はより実態を反映していると受け止めるべきではないか▼今回の調査結果は市民の建前と本音の開きが明確に表れたと思う。東海岸に注目が集まるなか、中心街はさんたんたるありさま。活性化は全市民の願いだ。行政もこの結果を真剣に受け止めてほしい。(真久田巧)
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