沖縄タイムス社ホームページ

沖縄タイムス購読問い合わせ
新聞記事トップ

泡瀬の干潟トップ
  2001年11月20日 朝刊  2面
住民意識と隔たり、崩れた市民総意/旧来の手法に課題解説/情勢変化に対応できず

 泡瀬埋め立て事業についての世論調査で、「反対」が「賛成」の二倍以上に達し、しかも半数を超えたことは、国・県・市が事業の最大根拠としてきた「市民の総意」がすでに崩れていることを意味する。行政や議会の認識に反し、七割近い68%が「市民投票を実施すべき」という。民意との「乖離(かいり)」はあまりにも大きく、公共事業を進める旧来の手法に重い課題を突きつけている。
 そもそも、東部海浜開発は歴代市長や市議会が強く望んできた事業であり、市民からも強い反対はなかった。新たな事態は干潟の価値観が急速に高まったことだ。計画に「反対」する人の過半数が「干潟が失われる」ことを理由とした調査結果が、それを裏付ける。
 加えて経済環境も、構想が取りざたされバブル期から、長期不況へ逆流した。バブル期の調査を下敷きにした同計画は、現実味に乏しい。経済情勢の変化と、自然環境がより重視される社会情勢の流れの両面にそぐわない埋め立て計画に、市民は疑念を抱いている。
 住民への説明責任を怠ってきたツケも重い。そのことが行政の思惑と民意の乖離を、さらに広げた。仲宗根正和市長の最大与党である自民党支持層でさえ、64%が「説明不十分」と指摘し、42%が埋め立てに「反対」している現実を認識すべきだろう。(政経部・山城興朝)
   関連情報