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  2001年11月20日 朝刊 16面
干潟埋める必要あるの/貴重な自然なくしたくない/美里高校生ら泡瀬調査

 【沖縄】県立美里高校の生徒らがこのほど、泡瀬干潟をテーマにした理科の授業で、調査リポートをまとめた。干潟の観察やビデオ、資料を収集し、学習した結果「貴重な自然を破壊してまで埋め立てる必要があるのか」「大事な自然環境をなくしたくない」など、埋め立て計画に反対する意見が大半を占めた。
 この観察授業は、理科の選択科目「環境の科学」の一環。昨年から設置された同科目では、身近な教材で環境について考えようと、さまざまなテーマを取り上げている。
 今回、地元沖縄市で進められている埋め立て計画の論議が活発化する中で、身近な環境を知ろうと取り上げ、三クラス(六十人)が受講。フィールドワークで、干潟に生息する生物や海藻の観察を行ったり、新聞記事などの資料を収集して総合的に学習した。
 四十九人がリポートを提出し、そのうち三十六人の生徒が「埋め立て反対」の意見を述べている。リポートでは「宿泊施設が不足しているわけでもないのにリゾートホテルを建て、貴重な自然を破壊する必要があるのか」「自然がなくなりつつある今、多額の費用をつぎ込んで埋め立てを行うことに意味があるのか。この美しい島が泣くのを見たくありません」など、身近な自然を残したいという意見が多かった。
 また賛成の意見として「若者の失業率が高く、先行きが不安。ここが観光リゾートの中心になればいいと思う。県民は今、自然保護をとるか失業率の改善をとるか迫られている」と雇用問題の解消を望む声もあった。
 授業をした伊波義安教諭は「初めて干潟に行ったという生徒が多かった。身近な自然を自分の目で確認することが大事。現場に行って初めて分かることが多く、身近な環境を知るいい教材となった」と話している。
(写図説明)泡瀬干潟のフィールドワークを行う生徒たち=沖縄市・泡瀬干潟(美里高校提供)
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