[中城湾・泡瀬干潟埋め立て]/住民への周知必要/沖縄市長が呼び掛け/市民の反応さまざま/泡瀬埋め立て
【沖縄】二十日報道された泡瀬埋め立て事業に関する沖縄タイムス社などの世論調査の結果が地元などに反響を呼んでいる。沖縄市はこの日午前、定例部長会を開き、仲宗根正和市長が同事業について、住民への周知を徹底するよう呼び掛けた。一方、地元市民の間では、経済活性化や自然保護を訴える声など反応はさまざまだ。
市東部海浜開発局の山田勝局長は「これまでも住民説明会などで周知を図ってきた。現在は計画が進行中で、説明をする時期ではない。何をもって周知というのか」と反論。その上で「長い月日がたっているので、事業について分からない人も多いと思う。職員が地域の伝達役となって市民への周知を図りたい」と全職員に冊子を配布し、対策に当たる考えだ。
一方、埋め立て反対が多数を占めたことに地元泡瀬の住民もさまざまな反応だ。
海岸沿いで飲食店を経営する与座春江さん(35)夫妻は海が好きで泡瀬に移り住んだが、「生活のためにも活性化を」と埋め立て事業に賛成だ。世論調査で市民の多数派が反対であるとの結果には、「泡瀬では賛成が多いと思うよ。にぎわいがないでしょう」と話した。
泡瀬在住の男性(36)も「市や有力者が海外から優良企業を誘致するなど行動してくれればいい。でも、行政は造るだけでしょう」と条件付きの賛成だが、従来型の公共事業の在り方に疑問を呈する。
一方、赤ちゃんを抱いて海岸を散歩していた上地政人さん(26)は、市内で反対が多いことに「その通りです。子どもたちのためにも自然は残すべきだ」と言い切る。経済活性化については「難しい話は分からない。でも開発を名目に中城湾はどんどん埋まっていく」と顔を曇らせた。
海岸で朝日に当たっていた仲里幸絵さん(22)は「鳥がいっぱいで、静か。人が増えて騒がしくなるのは嫌です」と話していた。
(写図説明)泡瀬埋め立て事業で、市民への周知策を検討する庁議=沖縄市役所 |