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  構造化って何?


構造化は環境の意味を理解できない自閉症の人に、その環境の意味を本人にわかりやすく伝えるものです。
例えば時間、午前午後の枠、1日の枠、1週間の枠そういった構造を持っていますよね。
自分、家族、地域というのも枠ですよね。社会の枠、時間の枠、所有の枠などなど、そういった環境の枠組み、目に見えない暗黙の了解や社会の条件やルール、その中で、人と人とが情報を交換しあい共有しあい生きているわけです。
そういった環境の構造をわかりやすく伝えるものです。

健常児は、この環境の構造をいつの間にか理解していきますよね。
周囲にあるものから、人とのコミュニケーションの中から、情報収集して理解していきます。
それを自力では理解できない、それがわからないがために混乱する自閉症の人に、それら
をわかりやすく伝えるために、環境の構造を見てわかるようにするわけです。
その理解しにくい環境の中では混乱してしまう自閉症の人に合わせて、環境の側を調整するということです。

こういった枠組みを見せて伝えることで、「始まり」と「終わり」が伝えられますし、「変更」や「ルール」が伝えられます。

悠くんにも、悠くんの周囲の環境を構造化してきました。
最初は、1日に3回食事があるとか、どんな風に流れているのかということ、時間が流れていることすら知りません。他人のものと自分のものとがあること、そういったことがまったく解っていませんでしたし、人と情報の交換が出来ること、人に伝えること、人から伝えてもらうこと、そういったものの存在、コミュニケーションというものがあるということも知りませんでした。
そういったものの存在を全て悠くんにわかる形、見てわかる形にしてきました。

「サリーの樹」は悠くんへの構造化を書いています。




 構造化とは何か 


構造化・・・そのものの構造を見て解るようにする。
       自閉症の人が理解しやすいように、ひとりひとりに合わせて、環境の側を
       再構成すること。


構造化の目的
  ・環境からの情報を「理解しやすく」することにより、安心して落ち着き「混乱や
   不安を感じなくてすむ」ようにする。
  ・本人の特性に合わせて効果的な学習が行えるようにする。
  ・自立を達成していくための補助具としての役割を持たせる。
  ・視覚的なシステムを用いて、適切な行動とはどんな行動かを理解させる。
  ・「決まった枠」を利用することによってどこが変わったのかという「変化」を伝え
   ることができる。


どのような情報を、どのように伝えるか
   「いつ」「どこで」「何を」「どれくらいの量」「どうやってするか」「終わったら何
   があるのか」を、ひとりひとりの理解しやすい方法(アイデア)ではっきりと示す。


構造化のアイデア
  @「どこでするのか(場所の意味)」をわかりやすく → 物理的構造化
     a)ひとつのの場所を多目的に使わない。(場所と目的を1対1対応にする)
     b)それぞれの場所の境界が見てわかるようにする。
      c)気が散らないように工夫する。

  A「いつ、何をする、がんばったら何があるか(活動や、行動の時間・流れ)」を
    わかりやすく示す。 →時間の構造化(スケジュール)
     a)提示は 上から下へ、左から右へ
     b)一人一人の活動の予定をその子どもにわかる形で提示する。
     c)提示する場所を一定にする。

  B「なにを(どの課題)、どれだけの量するのか、終わったら何があるのか(動機
    付け)」をわかりやすく示す。 →ワークシステム
     a)提示の順序「上から下へ、左から右へ」
     b)終わりをはっきりとわかるようにする。

  C「何を、どのようにするか」をわかりやすく示す。 →手順の構造化
     a)見てわかる指示(視覚的な指示)の方法を考える。
     b)見てはっきりわかる(視覚的明瞭化)方法を考える。

  D「(いつも)〜したら次に〜する」習慣化した流れをつくる。 →ルーティン化


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TEACCHプログラム研究会の講演会に参加した時の講演内容を
レジメを元にまとめたものです。
間違いなどがありましたら、ご指摘ください。





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