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  自閉症って何?


自閉症の診断を受けたとき、まずはじめに、「自閉症って・・・何?」と思いました。
手をひらひらさせたり、ぴょんぴょん飛び跳ねてげらげら笑ったり、でも、目は合わないしいつも無表情で能面のような顔でした。私の言葉は、悠くんの頭の上を素通りするだけで、悠くんの耳には届かない。「自閉症」・・・その名のとおり、まるで自分の世界にいて、私たちの世界との接触を拒んでいるかのような印象を受けました。
悠くんにとって、母である私は・・・物を手に入れるための道具であり、どこかへ移動するための手段でしかなかったようで、私に顔は必要なく、何かがほしいと思ったときに、そこに誰かの手があれば誰の手でも使う・・・たとえ、見知らぬ通りすがりの人でも・・・まるで、異星人のようでした。何を考え何をしようとしているのか全くわかりません。

「自閉症の文化」といわれるように、悠くんもまさに、自分の文化を持っていました。
耳が聞こえていないわけではないので、耳から情報は入ってくるけれども、その情報を処理する能力に障害があり、私たちの情報処理の仕方と全く違う方法を取ることが解ってきました。
悠くんは、過去の経験を頼りに動くという方法を取ります。耳からの情報より、身体で覚えたことを優先させます。
例えば、「保育所に行く」ということを、いつも通っている保育所への道を頼りにします。ですから、道が違うと保育所へ行くかどうか分からなくなるので怒り出すというようなことが良く起こりました。健常児ですと、少しでも「ほいくしょ」という言葉を聞き取って、「ああ今から保育所へ行くんだな・・・」と思ってくれるのですが、私が伝えた「保育所へ行くよ」という耳からの情報は、悠くんには理解できません。でも、自分の好きなおせんべいの袋をかさかさと触る小さな音を聞きつけて、どこからともなくやってきます。
「立って」「座って」などなど、日常の中で何度も繰り返しかけられる言葉、嫌でも覚えてしまう言葉を、どうやったら理解せずにいられるのか不思議でしたが、悠くんは全く言葉を頼りにしません。


  ・聴覚情報処理が苦手で視覚優位。
  ・概念など、見えないものの理解が出来ないこと。
  ・1対1の理解をするので、応用が出来ないこと。
  ・興味・関心が私たちと違うこと。

私が、これらの意味を理解するのには時間がかかりました。
自分に当てはめて考えることが出来ないのですから、とっても難しいです。


また、一言で「自閉症」といわれただけでは、自閉症の程度、知的障害の程度、それぞれはがどの程度のものかは分かりません。でも、それぞれの程度を知ることは、アプローチの手がかりになります。自閉症の7割は知的障害を伴っていると言われています。知的障害を伴わない自閉症が「高機能自閉症」と言われていますが、悠くんには、関係ない世界ですね・・・(^^ゞ
悠くん、自閉症は軽くはないです、でも、知的障害が重いために、自閉症の難しさよりも、知的障害が重いことの難しさにぶつかります・・・(^^ゞ

悠くん、低機能の自閉症です。自閉症の障害特性をしっかり持っていますが、その悠くんへのアプローチを考える時に、知的障害の程度で手がかりがずいぶんと変わってきます。・・・でも、だから機能的に高い方がいいという意味ではありません。(^^ゞ
機能が高いほど、本人の行動も複雑になり、行動範囲も広がりますので、それに合わせて支援にもいろいろな工夫が必要になってきます。機能が低いほど、単純だなぁ・・・と感じます。
でも・・・その分、手がかりが少ないので、とっても困っています。(^^ゞ




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    自閉症については、下記のHPをご覧くださいませ。

        社団法人日本自閉症協会 
        




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