DAWN BLUES   200804

庭師だけに遺されていた紅葉姫の記憶は急激に薄れて、姫の声も、もう聞こえない。
希望の標に、夜の空で瞬いていた星も、見えなくなってゆく。
「変わりたくないのよ」 独り嘆く声も、土と空気に溶けてしまう。箱庭の夜明けは止められない。