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施主を代表して

F氏

 このような住宅の完成は、感無量です。ここに至るプロセスは多難でした。まずはまだ住める家を建て替えることへの抵抗です。近所の新築や中古探しから始まりました。なかなか気に入る物件が無く、土地も探しました。何十件も見て歩き、やはりこの地の環境や街並みへの愛着もあり、建て替えを選択するに至りました。ハウスメーカーの見学も行い、一時は頼もうかとも思いました。
田舎から来る母との同居に相応しい住宅イメージや間取り構成がいろいろと頭に浮かび、どうもレディメイドの住宅ではダメかなと、ようやく自前の家づくりを決意した次第です。その後も自分でやるか、会社スタッフに頼むか悩みました。自邸づくりは生涯一度のこと、業務として慣れていることも、自分のこと、家族のこととなると、冷静にはなれないものです。家づくりの継承がしに
くい事情が今回で良く理解できました。
 古口君にお願いしたのは、我が配偶者と気兼ねなく話せることが動機でした。互いに意見を言え、相談できるパートナーとなれることが家づくりの大切なポイントです。この点は予想以上に良好で、本当にトラブルもなく、むしろ私を除く2人の好み(どうも空間センスは私だけやや異なったようです)が一致することが多く、実に順調でした。
 住宅への自己表現にはかなり悩みました。地下室など諦めたことも多少ありました。島田式漆喰とガルバとの組み合わせなどが、街並みとどう折り合って馴染んでいくかなども楽しみなテーマです。
 参創ハウテックやエアムーブ工法の司建設との出会いは、全て古口君を介してです。暮らしてみて、季節や昼夜の温度や湿気を測定し、空間や工事の良さ・工法の効用度合いを確認することが、設計や施工関係者への恩返しと考えます。測定結果や暮らしの実感が快適で意義あるものと信じつつ、これまでのご尽力に感謝の意を表します。

司建設株式会社

代表取締役 松井 健司

 施主様、住宅完成おめでとうございます。私たちは「想いは、人へ、環境へ」をスローガンに住宅創りに取り組んでおります。
 近年住宅産業は様々な工法が乱立し、施主さんたちが良い住宅を選択するのに混乱を招く状況下です。そんな中エアムーブ住宅を選んでくださいまして誠にありがとうございました感謝申し上げます。
 エアムーブ工法は字のごとく空気作用をうまく利用している工法です。建物は地面の上に建っているのと同時に、空気の中に建っていて空気の影響をたくさん受けています。その空気を季節ごとに、ほんの少し方向を変えさせて頂く事によって快適な暮らしを演出しています。今の住宅業界は自然と遮断する方向へ向かっていますが、私たちは自然と仲良くしていく方向を選びました。日本の自然は素晴らしい四季を演出してくれます。どうぞ新しい住宅でエアムーブ住宅の快適性を楽しんでください。
 最後になりますが演出の舞台を考えてくれたアトリエFの古口さん、舞台を作ってくれた参創ハウテックのスタッフの皆様大変御世話になりました。ありがとうございました。

株式会社参創ハウテック

代表取締役 清水 康弘

 私ごとで恐縮ですが、弊社の社名(参創)の由来の「参」には人・地域・自然と施主・設計・施工が三位一体になり、「創」は快適で安全な住環境を創造するという思いが込められています。会社設立以来、住まいはお仕着せの器ではなく、人が真ん中にいる家づくりを目指してまいりました。
 住まいは本来家族の絆を繋ぎ止め、人の心と体を癒すための空間です。ところが実際に供給されている多くの住宅は、供給者だけの論理で構築されたものが殆どです。いつのまにか得体の知れない供給側のシステムに支配され、家は「つくるも」のから「出来てしまう」ものになった感さえ否めません。その様な思いを日々引き摺りながら住宅の仕事に携わっていますと、ひとつの運命的な出会いから至福の喜びを感じることもあります。つくりたいものに出会った事で何か仕事を超えた価値を見出せた感動が体中に湧き出てくるような気持ちになります。
 今回の施主様の新築工事はその様な思いを具現化させて頂いた作品のひとつです。結束が固く、理想の御施主様の御家族、勉強熱心な建築家のこだわり、エアムーブの卓越した技術、どれをとっても皆様のご理解と御協力の賜物と感激しております。
 この度は施主様の御家族をはじめ、建築家の古口先生、技術供与でお世話になった司建設の松井社長様に心からお礼申し上げます。また完成した「家」の住み手である施主様の御家族が今後一層ご健康で幸せな御家庭を育まれることを心からお祈り申し上げます。

アトリエ F 一級建築士事務所

主宰 古口 良一

 施主であるF氏から建替えの話を伺ってから、1年余りです。あっという間に過ぎた気がします。あれこれと想いは尽きませんが、とにかく竣工おめでとうございます。
 施主とは、大学の研究室と、以前に勤めていた都市計画事務所の先輩にあたります。今尚、公私ともにお世話になっており、良き先輩であると共に兄のような存在としてお付き合いさせていただいています。
 最初に設計の話を頂いたとき、施主自身が計画・設計事務所の代表を務めているのに、弊社に依頼されて良いものかとも思いました。多分、まだまだ建築家としての社会的ポジションを得ていない私への親心だと思いますが、設計のチャンスの少ない社会状況の中で、このような機会を与えていただきとても感謝いたしております。
 さて、建築は、施主をはじめ多くの人との出会いの産物です。建築は施主、設計者、施工者の相互の信頼関係があってはじめて良い建物ができるものと考えています。今回、理解者である施主はもちろん、施工者の参創ハウテックさん、本住宅の一つの特徴であるエアムーブ工法の技術供与を頂いた司建設さんご理解・ご協力・ご尽力ありがとうございました。
 最後に、F邸の「竣工写真集」を編集いたしました。その旨として記録を残すことと同時に、本建築がプロセスを含めて、職人さんをはじめ関わった皆さんの成果として位置づけたいと考えています。感謝の気持ちとしては些少ではありますが写真集にクレジット・スタッフとして記載させていただきました。