〜蝶の夢・6〜
 
 
 
 
 
 

一向は、フェリシエラ に案内されるままに森の中を歩いていた。
一番後ろでは先程のショックから立ち直れないボロミアがいたが、ホビット達は足取り軽くはしゃいでいた。
命の危険を伴わずに美しい森を歩けるのがとても嬉しいらしい。
その様子に優しく微笑みながら、無敵な王女さまはアラゴルンと右手を、レゴラスと左手を繋いで軽やかに歩いていた。


「なんでアラゴルンとレゴラスなんだい?フェリシエラ 様ヒイキだ!」

ピピンの声にフェリシエラ は意外そうに首を傾げた。

「あら、だってボロミアはさっきのショックから立ち直れないで後ろでブツブツ呟いてるし、ギムリは私と手を繋ぐの嫌がるんだもの」

「どうして僕達は数に入ってないのさー」

これはメリー。
彼はふてくされた様に道端の石を蹴ると、彼女は困ったように笑う。

「だってあなた達と手を繋いだら、エスコートされるんじゃなくてエスコートしてるみたいじゃない」

本当のことだがホビット達はちょっとだけ傷ついた。

「それに、あなた達とは昨日も一昨日も沢山話したでしょう?私は他の人とも仲良くなりたいの」

そう言うと、フェリシエラ は視線を隣の二人に戻して話しかけた。

「ねぇ、レゴラス。闇の森はどんなところなの?」

後ろでホビット達が、「浮気だー」とか「差別だー」とか「男は見かけじゃなくて心だ!」とか騒いでいるが、綺麗に無視した。

レゴラスは苦笑しながらも、視線を遠い故郷に向けた。

「こことはまた違って、美しいところだよ」

懐かしそうに呟く彼に、フェリシエラ はもっと具体的に教えてよ、と握っていた手を揺らす。

「一面が沢山の花で囲まれていて、大きく美しい「銀鎖の滝」と呼ばれる所があって、そのちょうど滝壷の湖に浮かぶようにして父の館が建っているんだ」

「まぁ、なんて芸術的なの!!」

その様子を思い浮かべて声を上げる彼女に、アラゴルンが続けた。

「そして、絶えずいろいろな楽の音が聞こえ、エルフの乙女達が歌い踊っている、「闇の森」」と言われるのとは違ってエルフ達の住まう所はとても美しい場所ですよ」

「ロスロリアンとは全然違うのね。アラゴルンは行ったことあるの?」

「えぇ、何度か。フェリシエラ 様は訪れたことはないのですか?」

問い返す彼に、少しだけ寂しそうに微笑む少女。

「お父様とお母様が危ないからと言って、ケレブリアン姉さまがオークに襲われてからはイムラドリスへも随分行っていないのよ」

心配性なんだから、と溜息を吐くフェリシエラ にレゴラスはそっと頭を撫でる。

「きっとお二人とも、君のことがとても可愛いんだね」

微笑まれ、頬を染める少女。

「限度があるわよ。何をするにも何処へ行くにも共の者をつけなさいって」

「ねぇ、ギムリの故郷はどんなところかしら?」

いきなり振り返って人懐っこい笑みを向ける少女に、ギムリは一瞬驚きながらもすぐに顔を顰めた。

「ふん、エルフなんかに気安く教えてたまるか!」

敵意の篭もった言葉にフェリシエラ は眉を潜める。

「あら、種族が違うからといって差別はいけないわ。“エルフなんか”とは失礼じゃない?」

強い瞳の輝きに、ギムリは少し圧倒されるような気がした。

「う、うるさい小娘だわい。大体、先に“ドワーフはがめつくて強欲だ”と言ったのはエルフの方だろうが」

「ギムリ、フェリシエラ 様に失礼だろう!」

そっぽを向く彼にアラゴルンが窘めるが、フェリシエラ は至って気にすることもなく笑っている。


「がめつくて何が悪いのかしら?」


問いかける優しい響きを含んだ声に、ギムリは彼女が何を言いたいのか分からずに困惑した表情を浮かべた。

隣で黙って聞いていたレゴラスも僅かに首を傾げるが、その動作に気付いた少女は彼に悪戯っぽい視線を送って。

「それがドワーフの生き方なのでしょう?だったら、誰に何を言われようが、エルフにがめついと言われようが、
胸を張っていればいいのではないかしら?」

自分自身に誇れる生き方であれば、例え誰かに罵られても前を見据えて進んでいけるのではないか?

何も後ろめたい事がなければ、卑屈になる必要はない。


レゴラスも、アラゴルンも、ギムリさえ、彼女の言いたいことがなんとなく分かるような気がして胸の奥から温かいぬくもりを感じた。

フェリシエラ はまるで女神のような慈愛の微笑を浮かべた。

それは、いつもの悪戯っ子のようなふざけた物ではなくて。

穢れなく、一点の曇りもない、透明なガラスにも似た美しさ。

レゴラスは、ますます彼女に惹かれていくのを感じる。


こんなに美しくて、繊細で、優しいものを見たことがなかった。


強い命の輝きを自分だけが腕に抱ければ、どんなに幸福か。

「レゴラス?どうしたの??」

急に黙り込んで微動だにしない彼の様子に、フェリシエラ は怪訝そうに見つめる。

「・・・アッ、なんでもないよ、・・・ほら、ホビット達が呼んでる・・・」

曖昧に微笑んでさっさと歩いて行ってしまったレゴラスに、首を傾げる少女。

「怪しい・・・なんなの?」

鋭い直感、というか野生の勘をも持っている最強な王女だったが、何故か世の中は自分の色恋には鈍感にできているらしい。

そんな彼女にアラゴルンは苦笑する。

「蝶の纏う光の粒子は、彼には毒になるのかもしれませんね」

「は?」

言っている意味がさっぱり理解できずに間抜け声を出す。

「まぁ、気付かない方が幸せというときもあるでしょう」

子供にするように頭を撫でるアラゴルンに、自分の方が随分年下なくせに・・・とフェリシエラ は俯いて膨れた。

なんだか余裕な彼の態度が悔しい。


「・・・エステルくんが最後におねしょしたのは10歳のときの夏。
エルラダンに夜、怪談(?)百物語を無理やり聞かされて怖くてトイレに行けず、そのありきたりなシチュエーションに付け加え、
アルウェンにトイレまでついて行ってもらおうとしましたが!・・・うむッ?!」

ぼそぼそと人の恥ずかしい過去を暴露しようとした彼女の口を、慌てて塞ぐアラゴルン。

その顔には思いっきり、何故知っているんだ??と書いてある。


「まだありま〜す。エステルくんの初恋は実はかの偉大なる・・・・・・」

「うわッ!何故そんなことまで!!」

面白そうに笑うフェリシエラ を、いつになく取り乱して止めている彼の姿がちょっとだけ情けない。

一体どんな過去があるのか。

知っているのは裂け谷親子と、懐かしい思い出話と称してアルウェンから暴露されていたフェリシエラ くらいである。


「伊達に長生きしてないのよ〜!私に余裕かますなんて100万飛んで2年早いわvv」

舌を出して、意地悪い視線を向ける。

相手を甘く見ていた、とアラゴルンは内心ため息をついた。


「じゃぁね〜!エステルくん」

ヒラヒラと手を振って、フェリシエラ はレゴラスとホビット達の方へ軽やかに歩いて行った。

しばらく光溢れる森の中を散策気分で歩いて。
小一時間も立った頃だろうか。


「あぁ、着いた着いた。ここが“ルシーアの泉”でーす!」

先頭のフェリシエラ が腕を広げて優雅にターンしてみせた先には・・・・・・・。


まるで物語りにでも出てくるような、そこだけ切り取った絵画のような。
いや、そう言った言葉ではとても表現しきれない・・・ただ美しいとしか言いようのない光景が広
がっていた。

小さいけれど、何処までも澄んでいて透明な泉。
太陽の光を受けて宝石のように輝いているその水面。
それを取り囲むように一面の野に咲く可憐な菫の花と、低く若葉萌ゆるサンザシの木。
高く美しい鳴き声で戯れる小鳥達。


言葉を失った一行にフェリシエラ は満足そうに微笑むと。

「思いっきり堪能して頂戴ね。ここはロスロリアンの中でも特に私のお気に入りの場所なのよ」

優しく吹き抜ける風に気持ちよさそうに身を預ける彼女の姿を、レゴラスは黙って目に焼き付けた。
永遠をかけても手に入れられないと知っている、その溢れる光の存在。

彼女に心奪われ、告げられず去って行った者達は、どうやってその思慕を諦めたのだろうか?

「あッ、そうだ。ボロミア、私の荷物貸してー」

フェリシエラ はボロミアに持って貰っていた大きなリュックから、シートを一枚取り出して下に敷いた

「用意がいいのですね」
幅の広いそれを一人で敷くには大変だろうと手を貸したアラゴルンが、感心したように呟く。
「なかなか気が利くでしょ?必需品はきちんと前の晩から揃えておくのがピクニックの常識よ」

「フェリシエラ が一人で用意したのかい?」

レゴラスが気を利かせてシートが飛ばないように端に石を置いている。
「えぇ、勿論よ。大丈夫!今朝もう一回確認したんだから。ちゃんと飲み物とかも持ってきたわ」
「・・・いや、そういう心配ではなくて」

「・・・あぁ、確かに普通のお姫様がすることではないのかもね」

すぐに彼の言いたい事を理解したフェリシエラ は、自嘲的な微笑を口の端だけで作った。

「でもね、普通って一体何でしょう?」

思いがけず哀しそうに響く声に、レゴラスとアラゴルンは目を瞠る。

「普通っていうのは誰かが決めた、束縛という名の枠でしかないんじゃない?
姫という立場だからしてはいけない事。しなくてはならない事。
しがらみ、決まり、血縁、因果・・・私は私なのに、そんなもので縛られて、やりたい事もできないのって悲しいと思わない?」

いつもより濃い翠の瞳に見つめられて、レゴラスは不用意だった一言を素直に恥じた。

「ゴメン、そんなつもりではなかったんだ。確かに君の言うとおり、人の生まれや環境で、その人の価値を見定めてはいけないね」

「分かってもらえて嬉しいわ。私の話って抽象的だから、上手く伝わるか自信なくて・・・」

微笑みながら、フェリシエラ はいつの間にか泉で水遊びをしているホビット達に目を向ける。

「レゴラス、アラゴルン。彼らはまるで子供のように無垢で純粋・・・だから、どんな色にも染まりやすく、自分を最初に犠牲にするでしょう」

守ってあげてね・・・・・・。

堅く頷く二人を見て、心に穏やかな光を感じた。

・・けれど、その言葉に隠された彼女の本心を。

いつかは誰か気付くだろうか?

「貴方といると、本来の自分とは何か、考えさせられるような気がします」

アラゴルンが敬意の念を抱いて彼女を見つめていると。

フェリシエラ はくすり、といつもの悪戯っぽい笑みを浮かべる。

「あなたもいろいろ複雑だからね。周りに遠慮したりしてなかなか自分を見つけられないんじゃない?」

その言葉に、そうだろうか?とアラゴルンは首を傾げたが。

確実に、彼は心の奥底で、まだ王者の意思を見つけられずにいるのが分かる。

その祖先の過去に囚われた心の葛藤も・・・・・。

「でも、夕星が貴方を照らすなら、迷いから抜け出せる日も、そう遠くないかもしれないわね」

小さく囁いた言葉は、風に掻き消されて彼の耳に届く前に消えた。

「そういえば、ボロミアは何処に言ったのかしら?」

姿が見えない事に気付き、きょろきょろと辺りを見回してみるが、一考に気配がない。

と、その問いに答えたのは意外にもギムリだった。

「奴なら、少しゆっくり考えたいことがあると言って森の奥の方へ歩いていったぞ」

相変わらず後ろを向いたまま振り向くことはなかったが、斧を研ぎながらも自分の言葉に反応してくれて、フェリシエラ はとても嬉しかった。

「ありがとう、ギムリ・・・」

フン、と鼻を鳴らす彼の耳が赤かったのは、果たして気のせいだろうか?


「アラゴルン、私ボロミア探してくるから。そのリュックにお弁当入ってるからみんなで食べてて」

「分かりました。気をつけて行って来てください」

軽く手を上げるアラゴルンにフェリシエラ も同じように返す。


「フェリシエラ 、一人では危ないから一緒に行こう」


「・・・ゴメン、レゴラス。ちょっと二人だけで話したいことがあるの」

「なら、彼を見つけるまでは一緒に探すよ」

心配そうに見つめる彼に、少女は明るく笑う。

「大丈夫。このロスロリアンで危険な事なんてないわ、なんて言ったってハルディアが守ってくれてるんですからね」

彼の名前を呼ぶときの切ない響きに胸が痛む。

気をつけて、と言いながら、レゴラスは目を逸らすように下を向いた。


羽のような足取りの少女に、彼の気持ちは届かない。

森の木々から零れる様に、陽の光が降り注ぐ。

暖かい腕に抱かれているようで、フェリシエラ は目を細めて木漏れ日に手を伸ばした。

掴めはしないけれど、確かに存在する光の柔らかさに、安堵する。


暗い、闇は嫌いだ。


どこまでも濃紺で、何をしても塗り潰されて消えてしまいそう。


「だから私は私が嫌い・・・・」


「・・・フェリシエラ 様?」

一瞬ビクッと肩を震わせるフェリシエラ に、声を掛けたボロミアの方も驚いて眉を潜める。

「・・・ぁ、ゴメンね。いきなり声がしたからビックリしちゃった」

彼女は取り繕いながらもどこか気まずそうに視線を泳がす。

「それは、スミマセンでした。しかしどうしてお一人で?」

「あなたを探しにきたのよ。何も言わずに一人で森に入って行ってしまうんだもの」

微笑で答える彼女が、あまりにもいつも通りに美しくて、逆に不自然のように思えた。

「少し、仲間と離れて考え事をしたくて。もう戻るところでしたが・・・すみません」

頭を下げる彼に、フェリシエラ はふぅ、と小さなため息をつく。

「・・・あなたの悩みを、アラゴルンは聞いてくれないの?」

彼女の瞳は何を考えているのか分からないが、何故か全てを見透かしているようで少し怖い・・・。

「私の、悩み?」

「ゴンドールが心配なのでしょう?暗い闇に覆われようとしている故郷を思って、夜も眠れないのではない?」

「・・・貴方は、人の心を読むことができるのですか?」

そういえば初めて出会ったときだって、彼女は明らかに自分を知っていた。
「聞いていた」と言っていたが、一体いつ?
エルロンドは指環の仲間が旅立った後、はたしてこの地を訪れたのか?

しかし、光の奥方は人の心を見透かす力を持っている。

それならば娘のフェリシエラ にだってその能力は受け継がれていても何の不思議もない。

困惑したボロミアの様子を見て、少女は下を向いた。

「そんな事が出来るのはお母様だけだわ。私は光の女王の娘であっても、光の女王その人で
はないのだから・・・」

「ですが、いつかは貴方がその座を継がれるのでしょう?」

暗さが滲む声の理由を、ボロミアは知らない。

「いいえ、エルフは有限の命を持つ人の子とは違うもの」

だから余計に彼女が理解できず。

「永遠に、光の女王はお母様。それにもし、有得ないとは思うけれど万が一の事があったとしても、それを継ぐのはお姉さまよ」

私は次女だから、と言って微笑む少女に自分と同じ闇を感じるのは、やはり錯覚なのだろうか?

「ひとつ、お聞きしてもいいですか?」

「・・・何?」

背を向ける少女に、朧げに投げかけるような問い。

「貴方は、何かを抱えているのですか?」

唐突な、問返したくなるほど直接的な言葉に、ボロミアは言いながら当惑したが。

彼女から感じた違和感が、何故か無視できなかった。


「あなたと同じかもね、逃れられない誘惑に必死に抗ってる」

それは彼に言っているのではなく、まるで自分に言い聞かせるような。

独り言のような、小さな呟き。

「・・・私は、私ではないから・・・」

「・・・フェリシエラ 様、何を?」

静かな、けれど耳の奥にはっきりと届く声に、ボロミアは首を傾げた。


「いいの、これは私の問題。あなたはあなたの問題を解きましょうね?アラゴルンとは一度ゆっくり話してみるべきよ」

出てきた名前に、ボロミアは知らず顔が強張る。

「彼は、エルフに育てられた為か、全くと言っていいほどゴンドールの行く末など気にしてはいません。
私が故郷を思って出す提案にも、さっぱり耳を貸さない」

握られた手に力が入る。
フェリシエラ はそれを優しく自分の手で包み込み、丁寧に解きほぐした。

「何を語ろうと、どんな生い立ちがあろうと、人間は人間でしかないの。それ以外の何者でもありえない。
だから、貴方達にはお互いを分かり合うための時間が必要かもね」

やんわりと言われて、ボロミアはこの自分よりも若く見える少女に、母の面影が重なるような気がして苦笑した。

そういえば、今朝起こされたときも、一瞬感じた心地よいぬくもりも・・・彼女のもの。

思い出して、しばらく忘れていた懐かしい感情が流れ込んでくる。


フェリシエラ の微笑みは包み込むような春の森を連想させた。


・・・しかし、一瞬その瞳が曇り、彼女は信じられないように目を瞠る。

「どうかしましたか?」

その変化に戸惑いながら尋ねると。

「油断しすぎたかしら?・・・オークがいるわ」

「なんですって!」

エルフの鋭い感覚で、いち早くその気配を悟る少女の瞳は険しかった。

「皆の所へ戻りましょう。あちらにもレゴラスがいるから、もう気付いているとは思うけれど・・・・!」

「フェリシエラ 様、それより先に、私達の方が危ないかもしれません」


緊張したボロミアの視線の先には・・・・。

オークが5匹、行く手を塞いでいた。


「そんな!こんなに傍に来るまで分からなかったなんて」

そんなに自分は油断していたのだろうか?

「私がなんとか食い止めますから、フェリシエラ 様は走ってお逃げください」

この森に詳しい彼女ならきっと上手く逃げられるだろう。
言いながらボロミアは剣を抜く。

「一人で?駄目よ、隙を突いて二人で逃げましょう」

縋り付く彼女を半ば強引に押しやると、ボロミアは微笑んだ。

「エルフの姫君に何かあってはゴンドールの名折れです。後ほど都で会いましょう」

そう言う間にも、オークの毒矢が降ってくる。
彼は舌打ちしながら、フェリシエラ を促した。

肩を押すと、彼女は迷いながらも駆け出そうとして・・・。


「危ない!」


気を取られていたボロミアに、一本の矢が肩を掠める。

僅かな差で急所は避けたが、彼に再び矢が飛んできて。

「フェリシエラ 様!!」

庇う様にボロミアの前に飛び出た少女の胸を、貫いた。


熱い。


それしか感じなかったけれど、フェリシエラ はそれ以上身体に力が入らなかった。


崩れていく身体を受け止めるボロミアの体温が伝わってくるのに、ひどく寒い。


瞳が、重い。


最後に浮かんだのは愛しい人の姿。


ハルディアに、逢いたい。


こんな濃密な闇が迫ってくるときは、彼がいつも傍にいてくれるのに。


「・・・ハルディア・・・・・・・」


伸ばした腕は、虚しく宙を彷徨って、落ちていく・・・・・・。


>>>to be continued

 

 

 

〈あとがき〉
・・・・長かった!!
しかも分かりずらくてスミマセン。
ようやっとバカップル話からシリアスな展開になってきたと思ったら、
ヒロインちゃんの意味不明な箇所が多いですよね?
実はとんでもない(?)>いやそうでもないかな・・・>秘密を持っているのですが、
次回から段々謎が解けていきます。
ハルさんも登場しますし、王子も壊れていきますUu