駅・旅の交差点』

私達の旅には「駅」が必要である。駅を「旅の交差点」とすれば、港や空港、バスセンターも駅であろう。そこは人間交差点であり、私達の私的な旅の物語もここから始まるのだ。

 

 最初の旅は、リュックかついで北海道周遊チケットを握っての列車旅であった。もう20年前の話である。写真(右)は北海道に向かう「上野発の夜行列車〜」に乗って座席に寝た翌朝、ある駅でチンドン屋のおばさんの仕事道具を撮ったものだ。写真(左)は北海道のローカル線(網走あたり)で客席から線路が見えるのが面白くてずっと眺めていた。

 

 写真(左)はバイクで日本縦断の途中、下北半島のある小さな港で、空の青さに沢山の大漁旗が映える風景に感動を覚えた。写真(右)は、信じられないかもしれないが、国道でも橋がなく、渡し船が渡す場所があったのだ。
 

 写真(左)は、カルカッタの地下鉄である。インドは社会主義国家であり、駅は国家秘密であった。知らない私はこの後、当局に逮捕される。「お願げえしますだ、代官様。あっしはただの旅行者で」と懇願し釈放。この写真は貴重なものである?
 インドの2等客車の中である。とても写真を撮るような場合ではなかったが、後でメモ(右)は残している。乗車率300%以上(異常)でもインドでは通常であっただろう。



 ダージリンからカルカッタまでを一晩で走る、通称「ロケットバス」。ロケットは綿密な計算で飛ぶが、このロケットはすごいバスとすごい道路を相手に、運転手がいかに気合いを入れるかが決め手のようだった。一睡もできなかった私の脳のように朝霞のカルカッタ駅。 



 車で嫁さんと行った日本縦断。かつての駅が廃線と共に放置されていた。手漕ぎのトロッコがあれば、ここから何処かへ行けそうだ。旅に捕らわれた者は、心に旅立ちの駅を持つのであろう。それは、私達が旅への意志を忘れない限り、草がからんで鉄道は錆ながらも、心に有り続けるのかも知れない。

(井上 智)