美しいヒマラヤ、その足元は ・・・。

 昨年4月、ネパールの山々をトレッキングした。エベレストを間近に見ることができるカラパールの丘だ。いわゆるネパール・トレッキングのハイライト。有名なコースである。しかし、標高5,500メートル、高山病に苦しみながらの、本気で歩かねばたどり着けない場所だ。愛妻と二人で行った。ヒマラヤは初めての彼女と違い、何度も経験のある私は、たかをくくっていたが、案の定、高山病で倒れてしまったのは私だった。
 さて、その道中、気になったことがある。標高3,400メートル、ナムチェバザールの小さな銀行でかっぷくのいい一人のチベット人のおばちゃんと出会った。手にはとてもその場には似合わないモノを持っていた。厚みで10センチはあろう札束。それを2つ、3つ。おどろいた。このエベレスト街道は、年中、世界からの登山客でにぎわっている。物価はネパール平均より2〜3倍は高い。物資は遠く何日もかけて運ばれてくるからだ。その人とヤクが通れるだけの、か細い山道ぞいの村々は豊かだ。でも、ちょっと脇道に入ると、一見して貧しいとわかる村々が点在する。このヒマラヤの奥地で見る貧富の格差は、複雑な思いを感じさせた。
 私が大自然の雄大さを求めて歩く、この行為はいいことなのか、それとも・・・。ヒマラヤは確かに美しい。美しいがゆえに人は集まる。燃料にするために木を切る。大量のゴミと汚物、そして貧富の格差。あなたは旅をしていて、ふとそんな思いにかられたことはありませんか。

(森永博文)

頑張って働けば、働くほど ・・・。

 私の仕事は手作り家具屋である。
 ログハウスづくりがきっかけで、木のあたたかさや、優しい香りに引かれての転職であった。それまでは、大企業、コック、運送業などの仕事についてきたが、一応、これが一番長く続いている。と言ってもまだ8年、職人の世界ではまだひよっこだ。家具づくりがどんな仕事かというと、お客様から注文を受け、どんなもんを作るか打ち合わせ、デザインを考え、図面を書き、製作、仕上げ(塗装)、納品という内容だ。小さな小物でも同じ行程をくり返す。一つのものができるまでに多くの人でが必要だ。たまに機械に材料を入れて、出てきたら完成品!みたいに考えている人がいるが、それは間違いです。
 ところで、私のつくる家具のの材料は自然の森に立っている。ナラや桜、くるみなどの木。自然素材を使っているから一見すると、“地球に優しい仕事”のように見えるが、実は矛盾もある。成長にまで何十年とかかる木を使わせてもらっているのに、仕事をすればするほど端材が生まれてしまうのだ。
 カンナくずや小さな木片は燃やしてしまうが、全ての端材を焼却してしまうのは、あまりにもかわいそうで、もったいない。ちょっと小さかったり、ヒビやフシがあったりするだけなので、捨てるに捨てられず、どんどんたまってしまう。今では樹種別に分類し、うず高く、積まれている状態だ。捨てればゴミ、使えば資源、そのどちらにもなれない端材を前に、日々、頭を痛めている私です。せっかくの地球の財産、大事に使いたい。なんとかならんのか・・・。

(森永博文)