関西電力は、アメリカUSEC社に軽水炉用核燃料の濃縮役務を委託している。濃縮の過程で劣化ウランが廃棄物として出てくるが、2001年4月25日の交渉で関電は、この劣化ウランの所有権をUSEC社に無償で譲渡していると述べている。関電は譲渡の理由を「ウラン235が含まれている割合が低く、当社にとっていらない物であるから」と説明し、さらに「アメリカがその劣化ウランから劣化ウラン弾を製造したかどうかについては、すでに所有権を放棄しているので関知しない」と述べている。

 関電にとって劣化ウランは核のゴミであり、その劣化ウランが劣化ウラン弾に使用されているかどうかについては関心がないというのである。また日本政府は、答弁書(2001年7月)で、海外委託分の劣化ウランについては「政府として特定の見解を有していない」と述べている。これもまた、無責任極まりない回答である。
 このことは、「原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限」ると規定する原子力基本法及び武器輸出三原則に違反し、さらには憲法9条が掲げる憲法の平和原則にも抵触している。原子力基本法が謳う「平和利用に限る」とは、国内に限ったことで、電力会社は海外で何をしても許されるのだろうか。
 さらに答弁書は、「アメリカの濃縮会社USEC社からは、関西電力株式会社から委託されたウラン濃縮に伴い発生した劣化ウランを劣化ウラン弾の製造のために使用したことはない旨の説明を得ている」としている。
 しかし、劣化ウラン弾に使用されていないということをどうやって確認したというのか。関電分の劣化ウランが個別に管理されているというような証拠があるのか、具体的に明らかにすべきである。
 さらに答弁書は、過去において使われなかったと述べているだけで、今後使用される可能性については一切言及していない。今後、劣化ウラン弾に一切使用されないという確認があるのかどうか。文書等によって確約されているのか。軍事転用されないという具体的担保の存在を明らかにすべきである。そのような具体的確認がない限り、国の主張に信憑性はなく、劣化ウラン弾に使用されている可能性は否定できない。

 アメリカへの劣化ウラン譲渡は関西電力に限ったことではない。東京電力をはじめ、他の電力会社でも行われているに違いない。日本の電力会社の劣化ウランが劣化ウラン弾に使われている強い疑惑がある。3月26日アメリカは、イラク攻撃で劣化ウラン弾を使用していることを公式に認めた。日本の電力会社の劣化ウランが、イラクの人々や子ども達を被曝させ、環境を汚染しているかも知れないのである。

「美浜の会」−美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会−より
http://www.jca.apc.org/mihama/index.html