インド人もびっくり、という言葉がある。インド人も驚くほど驚異的な、という意味だ。こんな言葉が一種の慣用句として広まったということは、
この言葉を考えた人も、それを受け入れてきた我々も、インド人はよほどのことがないと
驚くものではない、というイメージを持っているのであろう。逆にこの言葉でそういうイメージが
インド人に対して刷り込まれるということも多かっただろうけども、仮にスイス人もびっくり、という
言葉を聞いても、いまいちピンと来ない。まず、何が?チーズが?などというという疑問が来るだろう。
そのへんをぶっ飛ばして、そうかー、インド人ですら驚くのか、とすぐさま納得してしまうのは、真偽は別として
やはりインド人に何事にも驚くまい、というイメージがあるからだろう。実際インドという国の奥は
底が知れないほど深いらしい。
様々なインドに関する旅行記を見ても、旅行者達はインドに驚愕することはあっても、
その逆はめったにない。旅行者達はやがては慣れていくものの、たいていびびりっぱなしである。
これは、ちょっと情けない。日本人ですら驚かない、っていう言葉をインドで流行らせられるかも
しれない。よほど平凡な物の例えとして、である。