らっきょうは苦手だ。今もあまり食べれない。あまり好き嫌いはない方で、今までどこの国でも何でもおいしく食べてきたが、らっきょうと香菜(中国の野菜。強い香りを持つ。タイではパクチーと呼ばれる)の二つは苦手だ。食べられないものがあるのが悔しい。どんなものにも大抵ファンがいる。その人達の知る快楽が味わえないのが悔しいと思う。納豆だって関西人としては死ぬ気で克服し、今では薬味無しでおいしく食べられるのだが。
しかし、好き嫌いが二つくらいでは最近知ったある人の話のすさまじさの足下にも及ばない。なんと、その人は野菜を全く食べないのだ。食べても、しゃぶしゃぶの薬味につけるネギ程度。あとは一切拒否。肉と穀物のみで生きている。野菜を食べるとアレルギーが出るらしい。彼の父親も全く同じ体質だという。当然のごとく20代前半に見えない貫禄のある体格をしている。彼曰く、例え40年で死んでも、毎日食事の度に嫌な思いをするくらいならそれでかまわない、ということである。ここまで言うなら、それもしょうがないであろう。若いのにそういう運命を受け入れ、諦め、達観している、とも言える。それに引きかえ僕はぐずぐずとらっきょうが出る度に一度はつっついたり、口に入れたりしている有様だ。いつかは楽しめるようになるだろうと思っているのだ。
それに、まだ見ぬものが口に合うか心配までしている。例えば、東南アジアのいくつかの国ではメジャーな食べ物らしいが、かえりかけのヒヨコだかタマゴだかわからないくらいのものをゆでて食べるというものがある。殻をむくとタマゴと鳥がまじったようなものが見えるそうだ。味は親子どんぶりに近いとか。タイではタガメやゲンゴロウのような水生昆虫をすりつぶして調味料にする。えもいわれぬいい香りがするのだとか。どちらも、非常に楽しみである。