「ミドルネーム」

日本人は欧米の人間と違って、普通ミドルネームを持たないけど、仮に持ったらどういうふうになるのか考えてみた。まず、ミドルネームとはどんなものか。実を言うと、あまり意味はないものらしい。つけてもつけなくてもいいし、つけたければどんどん長くしてもいい(世界最高のもので400くらいあるらしい。落語の「寿下無」より長い)。どんなものをつけるかといえば、まず祖父や祖母、両親の名前や名字がある。これは、先祖の名前をどうかして残すという意味があるようだ。次に、キリスト教徒ならば洗礼名や有名な使徒、聖人の名前。大統領や有名なスターなど、その時代に尊敬されている人の名前。要は補足で付け足すようなものなんである。試しに日本人で付けるとどうなるか考えてみよう。

本人:山田太郎
父親:山田五郎
母親:山田米子(旧姓:田中米子)

例えば父親の名前を入れるとすると山田五郎太郎になる。非常にまぎらわしい感じだ。母親の旧姓をいれると山田田中太郎。どうもロバート・フォン・エリックというような雰囲気にはならない。では、洗礼名があったとしてそれを入れてみると、山田ミッシェル太郎という感じか。いまひとつだ。では代わりに仏名を入れてみよう。山田珍念太郎。どうもいけない。しょうがない、スターの名前だ。スターといえば彼か。山田にしきのあきら太郎。・・・ミドルネームが本名より目立ってはいけない。これもだめだ。やはり、欧米の習慣を積極的に取り入れてきた日本人がミドルネームの習慣を取り入れなかったのには必然性があった。残念ながら似合わないし、使いにくいのだ。しかし、しかしだ。つのだ☆ひろの「☆」を忘れてはいけない。あの☆こそが日本人もミドルネームを使いこなすことが不可能ではないという希望の星だ(もっとも何て呼べばいいのかわからんが)。どこまでもあの☆を追いかけていけば、いつの日か、僕らも素晴らしいミドルネームを手に入れる日が、きっと来るにちがいない。