いつも楽しく拝見させていただいてます。

今回どうしても、ということでメールしましたのは表題にも書いた通り、
<アレな話題>の中の「牛乳が飲めなくなる話」についてです。

実は私、酪農家です。
リンク先の話は、嘘だらけで呆れました。
以下、お読みいただいて、探偵ファイルという胡散臭いサイトの情報を真実であるかのように朝目新聞に掲載された事を再検討していただけないでしょうか?

まず、生乳は2日で腐りません。
なんとなくそうでありそうなものを目の前にぶら下げた、単純な心理学的ひっかけです。

よく考えてみてください。開封した牛乳を常温に放置しておくならともかく、殺菌したものを空気を遮断してパックに詰め、4℃前後で保存すれば、通常1週間程度は大丈夫です(風味は落ちますが)。保存料を入れるコストの分だけムダです。
もし保存料を入れるなら、もっと長持ちするでしょう(ロングライフ牛乳はそうですね、コストも高くなります)。

次に、乳牛に成長ホルモンを投与する話は初耳です。私の農場自身はもちろん、過去に酪農ヘルパーとして300軒ぐらい農家を回りましたが、そんなことをしてる家は一軒もありませんでしたよ。

肉牛ならばそういう事はあるかも知れませんが、現在は非常に薬剤についてうるさくなっているので、出荷時に薬剤が残留していることはありません。
例えば牛乳の例で言えば、抗生物質等が残留したものを出荷すれば、それは確実に検査(毎日行ってます)で引っかかり、農家が数百万円を弁償しなくてはならない事態に陥ります(もちろんその牛乳は廃棄処分です)。

乳量を回復させるのにホルモンを使うという話も聞いたことありません。
牛は分娩することによって乳を分泌するので、どうしても数ヶ月過ぎれば自然と乳量は減り、それはどんなことをしても回復しません。
仮にホルモンが有効だとして、その牛を長期引っ張って搾っても、経営的にいいことは皆無です。

どんどん種を付けて更新していくのが理想的な経営です。種をつけて、次のお産を待つ。産次が増えるほど乳量は出ます。

更に「遺伝子組み換えがタップリ入ってる」という表現がおかしいことに気づきませんか?
組み換えした穀物が牛乳にブレンドされているのですか?
それとも牛乳自体を遺伝子組み換えしたのですか?
なんとなく科学的な表現を使って危機感を煽っているだけのような気がします。

穀物の大半がアメリカからの輸入なので、遺伝子組み換えの穀物は牛の餌の中にどうしても入ってきます。
が、遺伝子組み換え穀物は、有害な化学物質とは違います。
化学物質では無いので生体濃縮は起こりませんし、
もし遺伝子組み換えの穀物を牛が食べたとしても、その牛乳が「遺伝子組み換え」になることはありません。
そもそも乳腺ってのは、赤い血液を濾過して乳にする非常に優れた透過膜ですよ。

ちなみに安く売られている牛乳と、一般的に売られている(160円前後)と中身は同じです。スーパー側が目玉商品として安売りするのです。
よく考えてみてください。品質の低い牛乳を生産する農場だけをタンクローリーが回るコストを考えたら、逆にコスト高になりますよ(今は逆に高品質牛乳だけを集めるタンクローリーがあって、それは高値で売られています)。

牛乳業界を貶めようとする力が働いてるんじゃないですかね?
そもそもこの「会長」とやらが本物なんでしょうか。

似たような適当なエセ科学を使って書いて牛乳を貶めている本がありましたね。確か「病気にならない本」とかいうタイトルの。
彼らはセンセーショナルな話題であればあるほどいいわけです。
それが真実だろうと、そうでなかろうと。
ノストラダムスの大予言の人が、外れたからって印税を社会に還元しましたか?