制作日記(2002.8.22)

 今日は小品の窯出しをした。これで最後の窯出し。やっぱり何ヶ月かかけて作っていくと、だんだん少しずつ作品も変わっていくものだなあ。個展の準備を始めて最初の頃作った作品を今日並べて見てみたら、作品の形はほとんど同じなのに、思いが少しずつ変わってきたのに気づく。
 それにしても今回は一つの作品を作るのにいつにも増してとても時間がかかった。題名にもあるとおり、ものの内側から折り重なるように作っていったので外側に達するまでがなかなか遠い道のりだった。かたちは空間で響いてくれるか、今からどきどきです。

制作日記(2002.7.29)

 只今、8月の個展に向け制作中です。今回は少しいつもと制作方法が違います。前回までのシリーズ(シリーズというわけではなかったのですが)は一応終了で、もちろん続いてはいるのですが、次の展開が昨年の個展中に見えてきたため、新しい方法で制作しています。
 今まではより完璧な形を追求していたため最初から完璧なエスキースが必要で、アイデアが決まれば、あとは制作マシーンと化してひたすらエスキースのイメージを立体化することに専念して制作していました。ですが今回は、簡単なエスキースは描いたものの、制作しながら即興的にイメージをふくらましていく方法をとりました。その方がよりイメージに近いものができると思ったからです。なので、作品の大きさもそれができる大きさにしました。最初60センチくらいの作品を個展用とは別に作っていましたが、どうも窮屈な感じがしてしまい、1メートル四方くらいの作品にしたところ、ちょうど私のアクションとぴたり合っていて、良いということに気づきました。常に全体を見て作らなければならないため、大きな脚立を用意し、上の方から見下ろしながら粘土の固まりを一つ一つつけていくことになったため、実は今までより作業的にはハードなものとなってしまいましたが。
 制作そのものはとても緊張感があり、一つ一つの作業が押したり引いたりの繰り返しで、おもしろいです。行程がシンプルなのでより表現意図に近いところが表せるのではないかと思います。

   
 

次の作品のイメージです。(2002.4.3)

空からながめて
透明になって
くるっとひとまわり
遠くに遠くに 透明の景色が かさなっていく
遠くに広がる水平線
とうめいの海を手でかき分け進んでいくと
きらきらと黒い光が少しだけ見える
きらきらと風に舞い上がり
星のように

 

 

 

つくるということ (2002.1.5)

 イメージ、という言葉を私たちはよく口にする。イメージの力とはいかなるものだろう。イメージからアイデアスケッチを描き、それを元に作品を造る。そして、造りながらまたイメージが広がる。でも作り手が考えていることはこれだけじゃない。
 作品を造るにあったって真っ白い画面に問いかける。「わたしのいる場所はどこ。」
手探りだった気持ちが一つ一つ明らかになっていく。日頃の思惑がすべてここに現れる。日頃・・・それはすべての源になっている。日頃何を考え、何をしてきたか。
 「わたしのいる場所はどこ。」 剥ぎ取られた時間、記憶、涙の出る心のひだ。問いかけは続く。嘘偽りのない言葉が続く。