Mike Batt's The Hunting Of The Snark (1986)

UK盤:廃盤(Belfry Production Ltd  First Night Records Cast CD24)
Germany盤:廃盤(Epic/EPC 480613 2)

Mike Batt Official Websiteで発売中!
(ここ以外では市販されていないようです。あとはオークションサイト等に出ることがありますが・・・)
 
Part One
  1. Introduction
  2. Children Of The Sky-lead vocal: Mike Batt
  3. The Bellman's Speech-lead vocal: Cliff Richard
  4. The Escapade-lead vocals: Deniece Williams, Julian Lennon, Art Garfunkel &Cliff Richard
  5. Midnight Smoke-lead vocal: Julian Lennon
  6. The Snooker Song-lead vocal: Captain Sensible
Part Two
  1. The Pig Must Die-lead vocal: Roger Daltrey
  2. The Beaver's Lession-lead vocals: Deniece Williams & Art Garfunkel
  3. A Delicate Combination-lead vocals: Deniece Williams & Art Garfunkel
  4. As Long As The Moon Can Shine-lead vocal: Art Garfunkel
  5. Dancing Towards Disaster-lead vocal: Deniece Williams
  6. The Vanishing-lead vocals: Julian Lennon, Mike Batt &Maggie Reilly

ささめごと

    隠れた名盤、というのはこういうアルバムを言うのでしょうね。ディープなArtie ファンにもあまり知られていないのですが、ものすごく豪華メンバーかつ面白い企画盤です。

    Mike Batt
    プロデュース・作詞・作曲は、"Bright Eyes"、"Sometimes When I'm Dreaming"のイギリス人作曲家/指揮者のMike Batt (マイク・バット)です。1950年生まれのMike Batt は非常に幅広いキャリアの持ち主で、オペラ『オペラ座の怪人』のプロデュースからテレビ・映画音楽の作曲、ロンドン・フィルハーモニーを初めとする有名交響楽団の指揮、はては、舞台やテレビアニメの制作・監督までこなし、さらにシンガーとしてソロアルバムまで発表している、という多才なミュージシャンです。

    The Hunting of the Snark
    このアルバムは、『不思議な国のアリス』で有名な Lewis Carroll (ルイス・キャロル)のナンセンス詩『スナーク狩り』(The Hunting of the Snark, 1876)をMike Batt が自身の解釈で、音楽・歌・朗読で表すという企画盤です。一種のミュージカル・アルバムとでも言えばいいのでしょうか。元の詩の『スナーク狩り』は、『原典対照 ルイス・キャロル詩集』(高橋康也・沢崎順之助訳 ちくま文庫 1989年)に載っていますので、アルバムとあわせてご覧になることをおすすめします。

    1990年から1994年にかけて、Art は出演しませんでしたが、シドニー・ステート・シアターやロンドン・アルバート・ホールでミュージカル(Mike は "costumed concert"と言っています)として上演され、イギリスでテレビ放映されました。

    このアルバムは、1984年にレコーディングされましたので、S&G再結成ワールド・ツアーからソロへと戻る第一弾企画だったと思われます。1980年代、ソロシンガーとしてはあまり活動的でなかったArt の数少ないレコーディングとしても、非常に貴重です。
     

    Cast

    Roger Daltrey as the Barrister
    Art Garfunkel as the Butcher
    Julian Lennon as the Baker
    Cliff Richard as the Bellman
    Mike Batt as the Boots
    Captain Sensible as the Billiard Maker
    Deniece William as the Beaver

    All spoken verse written by Lewis Carroll
    All lyrics and music written by MikeBatt

              Narrated by
    Sir John Gielgud and  John Hurt
                  with
    The London Symphony Orchestra

      Special Guests
    Stephane Grapperlli  (Violin)
    George Harrison (Guitar)
    Maggie Reilly (The Voice of Hope) 
     

    キャストについて

    Roger Daltrey (ロジャー・ダルトリー) :バリスター(法廷弁護士)
    イギリスのロック・バンド、The Whoのリード・ボーカリスト。

    Julian Lennon(ジュリアン・レノン) :ベイカー(パン焼き職人)
    1964年生まれのイギリス人ミュージシャン。John Lennon の息子。

    Cliff Richard (クリフ・リチャード):ベルマン(鐘鳴らし役)
    1940年インド生まれ、イギリス育ちのロック・シンガー。

    Mike Batt (マイク・バット) :ブーツ(靴磨きなどを雑用を行うホテル従業員)

    Captain Sensible (キャプテン・センシブル):ビリヤード・マーカー(ビリヤードの点付け係)
    1954年生まれ。イギリスのパンク・バンドThe Damned の一員。

    Deniece Williams (デニース・ウィリアムズ):ビーバー
    1950年アメリカ・イリノイ州生まれ。ゴスペル/ポップのシンガーで、Stevie Wonder のツアー・メンバーとして活動。75年からは、Earth, Wind & Fire のリーダー、Maurice White をプロデューサーとしてソロアルバムを発表。

    Sir John Gielgud (ジョン・ギルグッド卿):ナレーター
    1904年生まれのイギリス人俳優・演出家。

    John Hurt (ジョン・ハート) :ナレーター
    1940年生まれのイギリス人俳優。

    Stephane Grapperlli (ステファン・グラッペリ):バイオリン
    (1908-97) ジャスの大御所バイオリニスト。

    George Harrison (ジョージ・ハリソン):ギター
    言わずと知れた、元 Beatle。

    Maggie Reilly (マギー・ライリー):「希望」の声
    1957年スコットランド生まれのブリティッシュ・フォーク、フォーク・ロック・シンガー。

    と、ものすごく豪華なメンバーですね。にもかかわらずなのか、その豪華さが裏目に出たのか、契約問題がこじれて、イギリスでは小さなインディーズのレーベルからしか発売されませんでした。アメリカでは未発売です。

    Butcher
    Art は、"Butcher"(肉屋・と殺人・残虐者)役です。この"Butcher"は「ビーバーしか殺せない、とんでもないおばかさん」なのですが(^^;)、Mike の演出とArt の歌声で、原作とはまた一味違った味を出しています。

    Art はなぜブッチャーにキャスティングされたのでしょうか?アルバムの中では取り上げられていないのですが、原作の詩では、ブッチャーが「2+1」をとんでもなくややこしい方法で計算するシーンがあります(前述の『ルイス・キャロル詩集 p326参照)。ここを読んで、わたしはArt が学生時代、数学専攻だったことを思い出しました(深読みしすぎですね^^;)。

    4曲目の"The Escapade"は出演者の紹介の曲で、Art も顔を見せに歌っています。
    Part II の"The Beaver's Lesson" と"A Delicate Combination"はDeniece Williams とのデュエットが非常に微笑ましく、かわいらしい作品。"As Long As Moon Can Shine"は、まさしく名曲です。全てのArtieファンに聞いていただきたいですね(^^)。Mike Batt らしい、美しいメロディラインと歌詞が印象的です。

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