Still Water

*はじめに*

Art Garfunkel が散文詩集 Still Water を出版したのは1989年でした。彼は、この一冊の美しい本の中に、旅をする内に湧き上がった自身の生きざま・思想、Paul Simon やその他の友人との関係、そして、なによりも、自殺と言う、最も惨い別れを選んだ恋人、Laurie Bird への想いを、形にしました。Artは、あくまで、"singer"としてその名を世に知らしめてきましたし、10代の時を除いては、ほとんど歌を書いていません。もちろん、彼の音楽から想いや感情は伝わってきますが、それらは(素晴らしいことでもあるのですが)聞き手のわたし達により自分の想いとオーバーラップされ、普遍化されます。一方、この詩集は、美しいと同時に、彼の個人的な思いを伝えてくれます。

ちなみに現在、Still Water は、原書・日本版共に絶版です。原書は1989年に Penguin Books から、日本語訳は、1991年に Sony Magazines Inc.から小倉ゆう子さんの訳で出版されました。

わたしがStill Water を初めて読んだのは、日本語訳でした。が、正直なところ、その「難解さ」についていけず、投げ出してしまいました(…問題発言 ^^;)。次に出会ったのは、その3年後、The Art Garfunkel Website に掲載されたオンライン上の原文でした。そして、それには Mary Rhinehart さんによる分析がついていました。読み進むうち、的確で示唆に富む分析に助けられ、原文の美しさに驚きをおぼえ、Art Garfunkel の「内側」の一端に触れられたような気がしました。そして、「Still Water ってよくわからない。」とお思いの(であろう)日本のファンのみなさまが、彼の心に触れるお手伝いが少しでも出来れば、と思ったのが、このサイトを立ち上げたそもそものきっかけです。
よって、このコーナーは、「原文で、Still Water を読む」ということを目的としています。分析と、分析に基づいたわたしの試訳がついております。試訳は、原文を読む上での手助けになれば、と付けたものです。ぜひとも、わたしのページを参考にして、元の詩を読んでみてください!!! 原文は、The Art Garfunkel Websiteにあります。 わたしの訳だけ読んで、納得しないで下さいね(^^;)。

わたしは、翻訳は全くの素人であり、誤訳もたくさんあると思います。最初は、分析のみ訳して、原詩は訳さないつもりでした。わたしが訳すことによって、原文の美しさが損なわれてしまう、と思ったからです。また、なにより Art の著作権にも抵触する行為です。しかし、日本語訳が絶版で非常に入手困難であること、Mary の分析によって新しい解釈ができるということ、などを考えて、試訳と言う形で掲載することにしました。読者のみなさまの辞書をひく手間を省いたもの、とお考え下さい。

このページは、決して「完成」と言うことはありません。出来る限り改善していくべく努力を続けていくつもりです。また、誤訳の指摘や「こうしたら」というご提案はいつでも大歓迎です。一緒にこのページを作ってください。

 まずMary Rhinehartさんの挨拶「分析に先立って」をお読みください。そして原文→分析→試訳の順に読み進むことをお勧めします。
最後に、素晴らしい分析を書いて、わたしのモチベーションを引き出し、わたしが分析を訳してこのサイトに載せることを快く承諾し、訳す上での相談に乗り、いつも励ましてくださる Mary Rhinehart さんに、感謝を捧げます。また、Still Water の原文とその解説に出合わせてくれただけでなく、いつもArt Garfunkel に関する豊富な情報を提供してくれる、The Art Garfunkel Website のウェッブ・マスター、Donald McCarthy さんにも心からお礼をいいたいです。

分析への質問は、訳者の Chie または作者の Mary Rhinehart さんに英語でお問合せ下さい。感想もお待ちしています!

 Across America インタビューより
散文詩を書き始めたのはいつ?
ポールとのワールドツアーがイスラエルで1983年に終わってから、僕はスイスに行ってあちこちをバイクでまわった。バイクに乗って自由に旅をするのは素晴らしかった。その時言葉のゲームを考えついて、書き残し始めた。韻を踏んでいるかなんて関係ない。言葉が水のように流れ、僕の思い通りに音節が踊る、そんな文が出来れば、立ち止まってささっと書きとめるんだ。
僕は、違う形で表現ができることに初めて気が付いた。10代のとき以外は歌をほとんど作らなかったから、80年代の中盤は僕が作家になった初めての時期なんだ。アメリカを横断していると、いろんな事が思い浮かんだよ。失ったものの思い出や、旅の素晴らしさなんかがね…。」
インタビュー原文は、The Art Garfunkel Websiteこちらから。