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ニューヨーク・シティ
1984年 7月


【訳者注釈】

30 FEET:30フィート:約9メートル
128TH OF 1 INCH:128分の1インチ:約2mm。 (1インチは2.54cmに相当)


解説

アートは1980年10月から1981年5月にかけての、Scissors Cut の時期、アルバムのライナー・ノートのレタリングをしていた時のことを思い出している。この仕事を、彼は、1950年に父さんが家族のクライスラーの車で、運転を教えてくれた時と結び付けている。アーティへの父さんからのアドヴァイスは"eyes up, and look farther down the road."「視線を上げて、道の先を見なさい。」だった。

このアドヴァイスは、アートがScissors Cut のレコーディング時の、辛い時期と大いに関連している。ローリー・バードは1979年6月に死亡し、このアルバムはそのわずか2年後に完成した。アルバムは彼女に捧げられた。このことが、この詩のアートの最後の言葉を説明する。―"I do it by watching the end of the line, with a hand before me that is not even mine."「僕は行の終わりを見ながら書く。自分のものでさえない、僕の前にある手で。」

【訳者補足】(作者との私信より)このレタリングをしている時、アートは、自分が自分ではないような気がしている。アートはローリーの死に深く傷つき、自分を見失ってしまった。ライナーを書いている自分の手は、自分の物ではないように感じられる。
 

備考
各連はカプレット【訳注:韻を踏んでいて、同数の音節からできている2行】で終わっている。

"...if you take the longer view,
the near at hand is done for you."

"...I do it by watching the end on the line,
with a hand before me that is not even mine."


この分析への質問は作者のMary K Rhinehartさん<MARY-JERRY@prodigy.net>に英語で直接お聞きになるか、日本語で訳者<chie_mc@hotmail.com>まで、お問合せ下さい。感想も熱烈歓迎です。 

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