画家名・アーティスト名一覧  Artist INDEX
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ダンテ・ゲィブリエル・ロセッティ
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Dante Gabriel Rossetti
イギリス  ラファエル前派  、1828-1882

ロンドンで生まれる。イタリアの亡命詩人の息子。ロセッティ自身も優れた詩人であった。

1841年、サス美術学校へ入学。
1845年、ロイヤル・アカデミー美術学校へ入学。
アカデミーの古典研究に退屈して、フォード・マドックス・ブラウンに学ぶ。
しかし、それも相に合わず。

1848年、ラファエル前派兄弟団を、ハント、ミレイと一緒に結成。

1850年代は水彩画で、アーサー王物語、聖書、ダンテ、チョーサー、シェイクスピアなどを主題に綺麗な色を使って描いた。

ロセッティは、ラファエル前派第二世代と呼ばれるバーン=ジョーンズやウィリアム・モリスなどとも親交が深かった。

1860年代から再び油彩画に戻る。耽美的な女性美を描いた。

モデルに登場するエリザベス・シダルと1950年に結婚したが、1862年、エリザベスはアヘンチンキの過量摂取により亡くなってしまう。

ジェイン・モリスもモデルをした。ウィリアム・モリスの妻であり、ロセッティの愛人でもあった。

聖母マリアの少女時代 
1849 Oil on canvas; 83 x 65 cm  、テイト・ギャラリー、ロンドン


聖母がユリの花を刺繍しているところ。

床に置いてある本は、上から「慈愛」「信仰」「希望」「賢明」「節制」「剛毅」の基本徳目を表している。

茨は聖母が味わった7つの悲しみと喜びを表している。棕櫚もそうである。下方に束ねられている。革紐に描かれているのは「あまたの悲しみ、あまたの喜び」

欄干の左端にガラス器に入った「棘のない薔薇」があるが、これは白ユリとともに聖母の花である。
またランプは「敬虔さ」を表すとされている。


見よ、我は主のはした女なり (聖告) (受胎告知
1849-50  72.7 x 41.9 cm  テイト・ギャラリー、ロンドン

ベアトリーチェの一周忌に天使を描くダンテ
1853-54  Watercolour  41.9 x 61 cm   Ashmolean Museum, Oxford
『新生』第34章によると、ベアトリーチェが亡くなって一年後、ダンテはベアトリーチェを思って一人の天使の絵を描いた。その天使はベアトリーチェであった。

画面左側、戸口の右側の階段が、上部に天の光の中に消えていく。
戸口の左側のアイリスは、死の花。地上と天上を結ぶ架け橋である虹の神イリスのことである。

入口の右手には、手洗い、小さな箒、タオル、バラの花の植えられた樽がある。が描かれているが、これはデューラーの木版画「マリアの生涯」からの一枚で「マリアの誕生」から取ったもの。

ロセッティは、死後、魂が浄化され天国へ上っていくためには、愛が必要なのだと、いろいろな道具を使用して表現している。


ダンテ自身も後に、妻リジーを亡くし、一年後に「ベアータ・ベアトリクス」を描いている。

天国でのダンテとベアトリーチェの出会い
1853-54

Watercolour
Musee des Arts Decoratifs, Paris, France

見つかって
1854  91.4 x 80 cm  デラウェア美術館、ウィルミントン、デラウェア、アメリカ
同時代を題材にして描いた、唯一の油彩画


場所はロンドン。子牛を運んできた農夫。
かつての恋人とばったり出会う。しかし彼女は娼婦に身を落としていた。

アーサーの墓  ランスロットの最後の出会い
1854

Watercolour; 23.5 x 36.8 cm

British Museum, London, England

パオロとフランチェスカ
1855  

結婚の祝宴でダンテに会釈を拒むベアトリーチェ
Painted in 1855; Watercolour; 34 x 42 cm
Ashmolean Museum, Oxford, England

The Blue Closet
1856-57

Watercolour、34.3 x 24.8 cm

Tate Gallery, London

Mary Magdalen
1857
Tate Gallery, London, England

St Catherine
1857; Oil on canvas; 34.3 x 24.1 cm
Tate Gallery, London, England

聖ジョージとサブラ姫の結婚
1857  テイト・ギャラリー、ロンドン

クリスマス・キャロル
1857-58  フォッグ美術館  ケンブリッジ、マサチューセッツ

記憶の門
1857  33.6 x 26.6 cm
W.B.スコット 「ロザベル」より


身を持ち崩した女性が、子供たちが遊んでいる姿を見ている。自分の無邪気な時代を思い出しながら。

ロザベルが隠れているアーチの下をネズミが走っていく。娼婦はネズミと同じ。社会から忌み嫌われる存在、伝染病の媒介。

子供たちの遊びは無邪気だか、実は残酷。花輪を付けた少女の周りを手をつないでみんなで回る遊びは、日本でいう「かごめかごめ」の一種で、「リング・ア・リング・オブ・ローゼズ」であろう。

 薔薇の花輪を作ろう。ポケットいっぱいに花びらをつめて。
 ハックション、ハックション、
 みんなしゃがもう!(fall down)

ハックション(Tishoo)は、ペストやコレラが原因で身体にできる赤い斑点の意味がある。
最後のみんなでしゃがむところは、We all fall down. と歌うのだか、ロザベルには「堕落」と「死」が暗示されて聞こえたにちがいない。
娼婦は早死にする。


戦の前  Before the Battle
1858

watercolour, 42.5 x 28 cm

Special Picture Fund, Courtesy Museum of Fine Arts, Boston

ダヴィデの末裔  The Seed of David
1858-64

228.6 x 152.4 cm (center)、185.4 x 62.2 cm (wings)

Llandaff Cathedral, Wales  ランダフ大聖堂、カーディフ

ボッカ・バチアータ  Bocca Baciata
Translated title: The Kissed Mouth.

1859

Oil on panel、32.2 x 27.1 cm

Museum of Fine Arts, Boston, Massachusetts

ベアトリーチェの会釈
1859  パネル  各74.9 x 80 cm  カナダ国立美術館 、オタワ

ダンテの愛  Dantis Amore
1859-60

Oil on canvas、74.9 x 81.3 cm

Tate Gallery, London

聖告  The Annunciation
1861

Watercolour
Fitzwilliam Museum, Cambridge, England

聖ジョージとサブラ姫
1862  52.4 x 30.8 cm  テイト・ギャラリー 、ロンドン

ファッツィオの恋人
1863  43.2 x 38.1 cm  テイト

Morning Music
1864

Watercolour、30 x 28 cm

Fitzwilliam Museum, Cambridge, England

ベアータ・ベアトリクス
1863-70  86.4 x 66 cm  テイト
ロセッティの妻エリザベス・シダル(リジー)の死の悲しみを、ダンテの『新生』でダンテが愛するベアトリーチェの死と対応させて描いた絵である。

この絵には多くの象徴が使用されている。

ベアトリーチェの死を直接描くのではなく、象徴的に描いている。彼女の意識が肉体を離れて、天井へ登りつめたところである。

背景はフィレンツェの街である。ベアトリーチェの頭上にぼんやりと見えているのが、ポンテ・ヴェッキオの橋である。地上と天上を結ぶ橋である。

右手に日時計がある。文字盤に影を落としている。午後三時ころ。ベアトリーチェが亡くなった時刻である。

日時計と反対角度で降下する鳩が咥えている花はケシである。「眠り」と「死」の花である。ここでは鳩は死の使者である。

ベアトリーチェの左側背後にいるのは天使の姿の「愛(アモール)」である。燃え上がるベアトリーチェの命を手に持っている。

死の死者である鳩とアモールは情熱の色、赤で描かれている。ベアトリーチェの衣服は緑色で、希望や復活を意味する。

愛(アモール)の反対側にいるのはダンテである。衣装は黒く、不安気にアモールを振り返っている。

ダンテの背後の井戸はデューラーの『キリストの降誕』(エングレイヴィング)にあるものと同型である。

井戸と、その背後の果実のなる木は、永遠の命の象徴である。ベアトリーチェは天上へ行き、永遠の命を得るのである。ヨハネの福音書第4章から採られている。

この絵は1862年に亡くなった、ロセッティの妻E・E・シダル(リジー)の思い出に捧げられた絵でもある。実際、ダンテもベアトリーチェの死の一周忌に天使(ベアトリーチェ)の絵を描いた。

ロセッティの妻リジーは、阿片チンキを服用して自殺している。絵の中で赤い鳩が咥えているケシの花は、その通り、「死の使い」なのである。


この絵は「受胎告知」とも重なってくる。井戸も果実も聖母の象徴である。鳩は後輪を持ち、聖霊の鳩を想起させる。ベアトリーチェの髪のまわりは赤く光っているが、聖母のニンブスを意図しているとも考えられる。背後のアモールは、大天使ガブリエルのようでもある。


<阿片チンキ>
イギリスでは、19世紀後半からヴィクトリア朝時代にかけて、阿片製剤が一般的に販売されていた。

まだ抗生物質も睡眠薬もない時代である。阿片は万能薬として活躍していたのである。この時代の最も一般的な阿片製剤が阿片チンキであった。

値段も安かったので正規の医者にかかることのできない労働者階級にとっては手軽な常備薬であった。

それだけではなく、コールリッジ、バイロン、シェリー、キーツなどなど文学者や詩人たちも阿片を常用していたのである。女性でも、ロセッティの妻リジーや、あのナイティンゲールですら常用者であった。

しかし、阿片である。過剰服用は死に至る。この頃、多くの子供たちが犠牲になった。子供の百日咳などの処方に使用されたり、母親がむずがる赤ん坊に阿片チンキを与えて眠らせたりすることに何の疑問も感じない時代であった。あやまって死なせてしまう事故が相次いだ。

ようやく1863年、規制法ができたがザル法であった。砒素でさえ、簡単に手に入る時代だったのである。阿片貿易のうまみなどがあり、1908年まで阿片が第一種毒物として取り扱われることはなかった。

ダンテの夢 
Dante's Dream at the Time of the Death of Beatrice
1856

Watercolour
Tate Gallery, London, England
1871

Oil on canvas
Walker Art Gallery, Liverpool, England

The Tune of the Seven Towers
1857

Watercolour、31.4 x 36.5 cm

Tate Gallery, London

Joan of Arc
1863

The First Madness of Ophelia
1864

Watercolour

Oldham Art Gallery, Oldham, England

How Sir Galahad, Sir Bors and Sir Percival Were Fed with the Sanc Grael; But Sir Percival's Sister Died By the Way
1864

Watercolour、29.2 x 41.9 cm

Tate Gallery, London

ヴェヌス・ヴェルティコルディア
1864-68  82 x 70 cm   ラッセル・コーツ美術館、 ボーンマス、イギリス

Il Ramoscello
1865

Oil on canvas、47.6 x 39.4 cm

Harvard University Art Museum, Fogg Art Museum,
Bequest of Grenville L. Winthrop

花嫁
1865-66  82.6 x 76.2 cm  テイト

Regina Cordium
1866

Oil on canvas、59.7 x 49.5 cm

Glasgow Museums: Art Gallery and Museum

モンナ・ヴァンナ
1866  88.9 x 86.4 cm  テイト

Sybilla Palmifera
1866-70

Oil on canvas、94 x 82.6 cm

Board of Trustees of the National Museums
and galleries on Merseyside (Lady Lever Art Gallery,Port Sunlight)

レイディ・リリス
1868   95.3 x 81.3 cm    デラウェア美術館、ウィルミントン

モリス夫人の肖像
1868  フォッグ美術館  

マリアナ
1868-70

Oil on canvas、109.2 x 88.9 cm (43 x 35 inches)

Aberdeen Art Gallery and Museums

ラ・ピア・デ・トロメイ
1868-80

Oil on canvas、104.8 x 120.6 cm

Spencer Museum of Art, University of Kansas
カンザス大学付属スペンサー美術館、ローレンス

La Donna della Fiamma
Translated title: The Lady of the Flame
.
1870

Coloured chalks、100.7 x 75.3 cm

Machester City Art Galleries

Dante's Dream at the Time of the Death of Beatrice
1871

Oil on canvas、210.8 x 317.5 cm

Board of Trustees of the National Museums and
Galleries on Merseyside (Walker Art Gallery, Liverpool)

あずまやのある牧場
1872  85.1 x 67.3 cm  マサチュセッツ市立美術館

ヴェロニカ・ヴェロネーゼ
1872  109.2 x 88.9 cm  デラウェア美術館

ラ・ギルランダータ La Ghirlandata
ro02.jpg (37436 バイト) 1873

Oil on canvas、115.6 x 87.6 cm

Guildhall Art Gallery, Corporation of London

リゲイア・サイレン  Ligeia Siren
1873

Chalk on paper、80 x 55 cm

Private Collection

Sancta Lilias
1874

oil, 48.3 x 45.7 cm

Tate Gallery, London

プロセルピナ
1877  125.1 x 61 cm

La Bella Mano
Translated title: The Beautiful Hand.

1875

Oil on canvas、157.5 x 116.8 cm

Delaware Art Museum: Samuel and Mary R. Bancroft Memorial

祝福されし乙女
1875-78  174 x 94 cm  フォッグ美術館

アスタルテ・シリアーカ
1877  183 x 106.7 cm  マンチェスター市立美術館

海の呪文
1877

oil, 106.7 x 88.9 cm

Harvard University Art Museum, Fogg Art Museum,
Bequest of Grenville L. Winthrop

A Vision of Fiammetta
1878  146 x 89 cm

窓辺の女性
1879  101 x 74.3 cm  フォッグ美術館

パンドラ
1879

色チョーク、紙、97.7x64.7cm

レイディ・リーヴァー・アート・ギャラリー、ポート・サンライト

デイ・ドリーム
1880  157.5 x 92.7 cm   ビクトリア・アンド・アルバート美術館


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