ラファエル前派
19世紀中頃、1847年、イギリスで若い画家たちの間で小さなグループができた。彼らは今日のつまらない芸術に激しく反発し、絵画をもっと崇高な道徳的なものにしようとした。

アカデミーはルネサンス期のラファエルの絵画を模範としていた。しかし若者たちは、ラファエルはあまりに劇的すぎて、わざとらしいと考えた。彼らはイギリスの絵画をアカデミックな様式から解放し、ラファエル以前の、絵画の素朴さへと返そうとした。これがラファエル前派の運動である。


イギリスでは、社会的な抗議行動の機運が高まってきている時期である。アイルランドが飢饉に見舞われ、「ハングリー・フォーティーズ」と言われたのは1840年代であったし、1848年、労働者階級の大規模なデモがあった。

倦怠感が覆っていたイギリスの画壇では大きな変化が必要だったかもしれない。
1840年代、ロンドンのナショナル・ギャラリーでは、ラファエロの『キリストの変容』の複製画をずっと展示していた。
ラファエル前派はこのラファエロの絵を批判した。さらにルーベンスやレノルズなど、巨匠と呼ばれる画家たちの批判を始めた。

社会の空気を読み取って、それまでの確固たる伝統・因習、その反復に反感を持って、その社会的反抗感がラファエロ批判などに向いたとも考えられる。

ゴシック・リヴァイヴァルは18世紀中ごろから始まっている。さらに1829年、「カトリック解放法」ができて、カトリックが復権した。大聖堂の建築は、尖塔を高く伸ばし、ゴシック形式へ回帰していく。

ドイツの芸術運動ナザレ派も、ラファエル前派に影響を与えた。
ナザレ派は、ウィーンで、聖ルカ同師団というグループを結成した。のちにローマに渡り、修道僧のような生活をした。
イギリスではウィリアム・ダイスとフォード・マドックス・ブラウンがナザレ派を支持して、その思想様式を伝えた。

グループは、劇的でロマン主義的な絵画で人気を得た。美を追求し、込み入った写実は、様式的にはアカデミーと同じであるが、理念的には、象徴派へとつながっていく。

ギリシャ神話やアーサー王の伝説、シェイクスピア、キーツの詩などから主題を借り、好んで描いた。

ラファエル前派グループ自体は、1850年代までしか続かなかったが、人気は衰えず、その後のアート・アンド・クラフト・ムーヴメントや象徴主義へ、大きな影響を与えた。
現在もなお、人気が高い。

ここで取り上げている画家は、ラファエル前派とはいいにくい画家います。象徴派に入れるべき画家やヴィクトリア朝絵画と言える画家もいます。大まかに分けていますので、ご了承ください。

リチャード・ダッド  ( 1817-1886 )
ジョージ・フレデリック・ウォッツ   (1817-1904)
フォード・マドックス・ブラウン  ( 1817-1904)
ソフィー・アンダーソン  ( 1823-1903 )
ウィリアム・ホフマン・ハント   ( 1827-1910)
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ   ( 1827-82)
ジョン・エヴァレット・ミレイ   ( 1829-96)
フレデリック・サンズ  ( 1829-1904)
ジョン・ロッダム・スペンサー・スタナップ ( 1829-1908)
フレデリック・レイトン  ( 1830-1896 )
ヘンリー・ウォリス   (1830-1916)
アーサー・ヒュース  ( 1832-1915 )
エドワード・バーン=ジョーンズ   ( 1833-98)
エミリー・メアリー・オズボーン ( 1834-??)  [女流画家]
ジョン・アトキンソン・グリムショー  イギリス  (1836-1893)
ローレンス・アルマ・タデマ  ( 1836-1912 )
ポインター  (1836-1919)
ヴェッダー ( 1836-1923 )
ヴァレンティン・キャメロン・プリンセップ  ( 1838-1904)
シメオン・ソロモン  ( 1840-1905)
アルバート・ムーア  ( 1841-1893)
ルーシー・マドックス・ブラウン  ( 1843-1894 ) [ 女流画家 ]
メリー・スティルマン  ( 1844- 1927 )
ウォルター・クレイン   1845-1915
エドワード・フレデリック・ブリューナル ( 1846-1902 )
ジョン・メリッシュ・ストラドウィック  ( 1849-1935 )
ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス  ( 1849-1917 )
ジョン・コリア ( 1850-1934 )
エドワード・ロバート・ヒュース  ( 1851-1917 )
エドモンド・ブレア=レイトン  ( 1853-1922 )
フランク・ディックシー ( 1853-1928 )
トマス・クーパー・ゴッチ ( 1854-1931 )
イーヴリン・ド・モーガン  ( 1855-1919)  [ 女流画家 ]
アーサー・ハッカー  ( 1858-1919 )
ヘンリー・リーム ( 1859-1920 )
ジョン・ウィリアム・ゴッドワード ( 1861-1922 )
ハーバード・ドレイパー   ( 1863-1920 )
メテヤード ( 1868-1947 )
エレナ・F・ブリックデール  ( 1871-1945 )
ビアム・ショー  ( 1872-1919 )
フランク・クーパー  ( 1877-1958 )

ナザレ派
オーファーベック
カロルスフェルト
プフォル
シャドウ

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