アート at ドリアン   絵画の主題      ギリシャ神話解説
ピュグマリオン
キプロスの才能豊かな、若い彫刻家。

アフロディテが噂を聞き、彼の前に現れてモデルをする。ピュグマリオンは傑作を作り上げた。
その彫像があまりにも美しかったので、彼は彫像に恋をしてしまった。

毎日、なにも手につかず、もし彼女を手に入れられないのなら、崖から飛び降り死んでしまおう、と独り言を言った。

アフロディテがそれを聞き、彼のもとに現れた。彼女はピュグマリオンの願いを聞き入れた。

彫像に命が通り、乙女がそこに立っていた。名前はガラテアであると、アフロディテが言い残し去っていった。

ピュグマリオンはその生涯をかけ、世界中の神殿のためにアフロディテの像を作って過ごした。

愛される人がいいのか、愛する人がいいのか。まさにこの物語の根幹に流れる主題である。
昔、たしかゲーテが書いたものだと思うが、ある童話を読んだことがある。

ある女性が赤ん坊を生んだ。そのとき、神様が願いをかなえてあげる、と彼女に言った。母親は「この子が誰からも愛される子になりますように」と言った。神様はその言葉を聞き入れ、赤ん坊は誰からも愛される子に育った。

しかし、誰からも愛されるので、わがままで性格の悪い子に育ってしまった。いくら性格が悪くても誰からも愛されるのだから、問題はない。大人になって、仕事をしなくても誰かが彼の面倒をみたし、いくら他人を傷つけても愛されるのである。

母親は気がついた。そこでもう一度、神様にお願いした。「誰をも愛せる人間になるように」と。

とたんに、彼の周りから人がいなくなり、食べるものにも困るようになってしまった。しかし、彼は幸福であった。なぜなら、愛することを知ったからである。徐々に、彼のまわりに人が集まってきた。

ピュグマリオンの話の根底にあるものは、愛の力、ということである。愛すれば、それに答えてくれる。愛すれば、彫像までもが生身の人間になってしまうのである。

教育心理学の用語に「ピュグマリオン効果」というのがあるが、それは、このピュグマリオンである。教師が生徒を愛すれば、生徒はそれに答えて、成績も良くなる、というものである。なんとなく分かる気がする。

バーン=ジョーンズ
心の願い   ピュグマリオン・シリーズより
1868-70.

バーン=ジョーンズ
1868-70

バーン=ジョーンズ
「ピュグマリオン」と彫像 命を与える女神  1868-78

バーン=ジョーンズ
「ピュグマリオン」と彫像 魂を得る 1868-78

ジェローム
ピュグマリオンとガラティア

ホームページ | 西洋絵画 | 女流画家 | 聖書の物語 | ギリシャ神話   文学