アート at ドリアン   絵画の主題      ギリシャ神話解説
プロメテウス
プロメテウスが人間に火を与えた。その結果、ゼウスの怒りをかい、コーカサスの山の岩に鎖でつながれ、永遠に、はげ鷹に腹を引き裂かれ、肝臓をついばまれ続ける、という刑に処された。
プロメテウスは不死の身であったから、一度腹を裂かれても、すぐにもとに戻る。しかし、刑は永遠に続くのだから、傷が治ったとたんに、再び、腹を裂かれる。これほどにまで残酷な刑はあるだろうか。不死身のゆえに、死ぬこともできず、毎日、永遠に、苦しむのである。人間に火を与えたことは、そんなに苦しむべき罪なのだろうか。
人間に火を与えたプロメテウスの話はこうである。ある日プロメテウスが人間界を見下ろしたところ、人間は無知と暗闇の中にいた。そこで、全能の神ゼウスの所へ行き、掛け合った。しかし、ゼウスは「無知というのは罪を知らないということだ。人間は、誰かが不幸だと思わせない限り、ずっと幸福なのだ。」と言って、取り合ってもらえない。
プロメテウスはそれでも、どうして人間に火の贈り物をしたらいけないのか、教えてもらいたかった。ゼウスは「もし人間に火を持たせたら、人間は神同様、強力な存在となろうとし、オリュンポスを荒らしにやってくるだろう」と答えた。しかし、プロメテウスは、この回答に満足せず、翌朝、日の出の火を少し盗んで人間に渡した。
火を与えられて、人間は幸福になっただろうか。人間は洞窟から外に出た。夜道を照らす松明。調理された食物。赤々と燃える鍛冶場。鋤、剣、槍を作る。兜をかぶり、戦争に出かける。プロメテウスは人間に文明と技術をもたらした。
勇敢な英雄、ヘラクレスがはげ鷹を殺し、プロメテウスは苦痛から解き放たれた。
近代から現代にかけて、機械のみならず、技術や情報に追われている人間を解き放ってくれるのは誰なのだろうか、

ピエロ・デ・コジモ
1515  アルテ・ピナコテーク  ミュンヘン

リュベンス
縛られるプロメテウス  1611-1612  フィラデルフィア美術館

ヨルダーンス
1640  Wallraf-Richartz Museum, Cologne

ギュスターヴ・モロー
縛られるプロメテウス  1880-85 

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