カスパル・ダーヴィト・フリードリヒ
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Caspar David Friedrich (1774-1840)
ドイツ   ロマン派    

当時、ローマへの旅行は、美術家にとって不可欠であった。

しかし、彼はローマへ行かなかった。
南方の、地中海の快活、明るい風景が、彼の禁欲的な精神を崩壊させはしまいかという危惧があったのである。

フリードリッヒの風景は北ドイツ、バルト海沿岸の荒涼として峻厳な風景、またザクセン、ハルツ地方の険阻な山岳の風景から想を得ている。

その美しい木々、丘、港、朝霧、光は、密接な自然観察によるものであると同時に、精神的であり、何か見えないものへの畏怖を感じさせる。

フリードリッヒは、19世紀、ドイツロマン派の代表者である。悲劇的な風景画、という新しい分野を開拓した。これまでの宗教画のイメージを捨て去り、自然を基軸とした絵を描いた。

広大な風景と光に、精神性、象徴性を与え、自然に対する恐れ、畏怖の念を描いた最初の画家である。

フリードリヒ特有の冷たい、厳しい色、澄んだ光、鋭い輪郭は、もの悲しく、孤独で静寂な空間を創り、自然が不気味な力を持ち、その自然に対する人間の非力を表現している。

神はどこにでも存在している、と彼は言う。

1774年、ポメラニア地方に生まれた。1794-98年、コペンハーゲンのアカデミーに学び、その後ドレスデンに住む。ドレスデンではロマン主義運動の芸術家たちのメンバーとなる。後にドレスデン・アカデミーで教鞭をとる。

彼は孤独と貧困の中で亡くなったとされる。死後、その名声は急速に消えてしまい、20世紀になって再評価された。

雪の中の巨人塚(ドルメン)
1807 Oil on canvas  61.5 x 80 cm  ドレスデン国立絵画館

山上の十字架 テッチェン祭壇画      
1807-08  Oil on canvas、115 x 110 cm (without frame)  ドレスデン国立近代絵画館
衝撃を与えた『山上の十字架』は宗教画は、初めて、祭壇の背景に自然を使用した。

教会に奉納されたときは、風景画と宗教画を混同しているとして批判された。「ラムドール論争」という。

十字架が斜めに描かれていて、あまり重要視されていない。

中心は夕日の光線である。

沈みゆく太陽は、旧約の過ぎ去った世界を表している。十字架が黄金に輝き、その光が大地に照り返されている。

山は不動の信仰を表し、もみの木は希望の象徴であり、信仰心の厚い人々を表す。

フリードリッヒは他にも、風景の中にそびえる十字架を描いている。

海辺の修道僧(カプチン・フランシスコ会)
1808 - 1810

樫の森の修道院          
1809 - 1810 Oil on canvas ベルリン国立美術館
荒れ果てた修道院が雪の中に建っている。

冬のわびしい寒空に残骸のようにある修道院は、宗教改革に揺れた教会とそのつかの間の浮世を表しているという。

墓、十字架、枯れた樫の木、廃墟、葬列などは、暗闇の死の世界を表す。

三日月が浮かぶ夜明けの空と対比させている。三日月は永遠の生命を表している。

リーゼンゲビルゲ山の朝
1810 - 1811 Oil on canvas 108 x 170 cm ベルリン国立美術館

聖堂のある冬景色
1811 Oil on canvas; 33 x 46 cm  ロンドン・ナショナル・ギャラリー
    

森の中の猟兵
1814 Oil on canvas  66 x 47 cm
1812-14年、ナポレオン軍が侵入。冬の森をさまようフランス兵を描いている。ナポレオン軍を暗示している。

港の眺望
1815 - 1816 Oil on canvas  90 x 71 cm  ポツダム宮国立美術館

雪の中の修道院の墓地
1817-19  Oil on canvas 、121 x 170 cm  前ベルリン国立美術館
1945年、戦災により焼失。

リューゲン島の白亜の断崖
1818-19 Oil on canvas 、90.5 x 71 cm  ヴィンタートゥール 、オスカー・ラインハルト・コレクション

霧の海を眺めるさすらい人
1818  Oil on canvas、94.8 x 74.8 cm  ハンブルク美術館 

日の出に立つ女性
1818 - 1820  Oil on canvas  22 x 30 cm 個人蔵

月を眺める2人の男
1819 - 1820  Oil on canvas  35 x 44 cm  ドレスデン国立絵画館
ロマン主義詩人ノヴァーリスの世界の視覚的表現とも言える作品。夜と死に魂の自由とやすらぎを見い出した詩人である。

月光に見えるのは枯れ木と荒くれた岩。
男たちの背後に死の予感があり、しかしそれはおそらく、とても静かな死の予感である。

漂う雲
1820 Oil on canvas 18.3 x 24.5 cm  ハンブルク美術館

バルコニーの姉妹たち
1820 Oil on canvas 74 x 52 cm  エルミタージュ美術館

バルト海の眺め
1820 - 1825 Oil on canvas  34.5 x 44 cm

海の月の出
1821 Oil on canvas  エルミタージュ美術館

海の月の出
1821 Oil on canvas  135 x 170 cm

朝日のあたる村の風景(孤独な樹)
1822 Oil on canvas 55 x 71 cm  ベルリン国立美術館

カラスのいる木         
1822  Oil on canvas  ルーヴル美術館
死の瞑想録である。

枯れ果てた木、その幹は野蛮な者たちの墓場に根を張っている。これは無益な野望に倒れた異端のヒーローがこういう場所に葬られていることを象徴している。

ほんの少しの木の葉、からすが死とその不幸な出来事を喚起する。

希望の光はまだ残っている。遠くに光輝くのは永遠の命を象徴している。

背景には、フリードリッヒの故郷バルト海の光景が広がっている。

グライフスヴァルト近郊の草地
1822  Oil on canvas  34.5 x 48.3 cm  ハンブルク美術館

海の月の出
1822 Oil on canvas  55 x 71 cm

窓辺の婦人
1822  Oil on canvas 44 x 37 cm  ベルリン国立美術館

山の朝
1822 - 1823  Oil on canvas  135 x 170 cm  

渓谷
1822 - 1823  Oil on canvas  94 x 74 cm  ウィーン美術史美術館  オーストリア

氷海 ( 難破した希望号)
1823-25  Oil on canvas、96.7 x 126.9 cm  ハンブルク美術館

ヴァッツマン山
1824 - 1825  Oil on canvas  135 x 170 cm  ベルリン国立美術館
墓地の入り口  (未完成)
1824 - 1826  Oil on canvas 143 x 110 cm  ドレスデン国立絵画館

エルデナの廃墟
1825  Oil on canvas  35 x 49 cm

墓場の入り口
1825 - 1830  Oil on canvas 31 x 25 cm  ベルリン国立美術館

雪に埋もれた墓場
1826  Oil on canvas  31 x 25 cm  ライプツィヒ美術館  ドイツ

夕べの港の船
1828 Oil on canvas 76.5 x 88.2 cm  ドレスデン国立絵画館

Large Enclosure
1832  Oil on canvas、73.5 x 102.5 cm  ドレスデン国立絵画館

リーゼンゲビルゲ
1835  Oil on canvas  73.5 x 102.5 cm  エルミタージュ美術館

人生の諸段階
1835  Oil on canvas、28.5 x 27 in  ライプツィヒ美術館





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